王子ジュニア・矢島コーチ 氷上で還暦祝う 旧日本リーグ・王子製紙 往年のヒーロー

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2024年11月12日
紅白戦でチームを指揮した矢島さん(右)
紅白戦でチームを指揮した矢島さん(右)
贈られた赤いユニホームは還暦の背番号「60」
贈られた赤いユニホームは還暦の背番号「60」
王子ジュニア中学生や家族らと記念撮影。前列中央で花束を持つ矢島さん
王子ジュニア中学生や家族らと記念撮影。前列中央で花束を持つ矢島さん

 苫小牧で活動中のアイスホッケークラブ、王子ジュニアの練習があった先週、指導する旧王子製紙チームOBの矢島敏幸さん(60)が所属する中学生らから誕生日で迎えた「還暦」の祝福を受けるサプライズの一幕があった。1990年代までの日本リーグ時代を彩ったFWヒーローの一人で、同クラブ歴代最年長の指導スタッフは、はからいに驚きつつも感激した様子で「体力が続く限りですけど、これからもコーチを続けます」と笑顔で語った。

 同クラブの中学3年と2年を主体にしたA・Bクラスの練習は新ときわスケートセンターで行われ、両クラス対抗の紅白戦がヒートアップし、攻防が続いた。その終盤、プレーの切れ間に館内が暗転し、「矢島コーチがこのたび還暦を迎えられます」という場内アナウンスの後、バースデーソングの合唱が響き、矢島さんの妻、久美子さん(60)、次男の会社員、翔吾さん(25)が本人に告げずに現れて花束を手渡した。

 生徒からは還暦祝いの「赤い衣装」として真っ赤な旧王子製紙仕様の背番号「60」の特別ユニホームが贈られ、「びっくりしたー」と矢島さんは破顔一笑。和光中3年のFW佐々木想(14)がジュニア門下生を代表して「これからも僕たちに教えてください」とあいさつし、矢島さんは「一生懸命、うまくなれるよう頑張って」と答礼した。リンクに居た生徒の保護者らも拍手、笑顔で祝福した。

 64年11月6日生まれ。釧路工業高校を卒業後、王子製紙(レッドイーグルス北海道の前身)でプレーしたエースは背番号「7」を背負った。足の血行障害を乗り越えた新王子(当時)優勝の第28回日本リーグなど2度のMVP獲得で通算252得点を挙げた名FW。釧路の少年期からの盟友でセンター鈴木宣夫さん(60)とウイングの名コンビを組んだ矢島さんは80~90年代きってのアイスホッケーファンの憧れの的だった。

 鈴木さんと一緒に99年に引退後、札幌で勤務し、苫小牧の職場に戻ってから王子ジュニアを指導し続けてきた。89年創立で元々の企業チームが運営してきた同ジュニアはチームを問わない歴代の苫小牧出身トップリーグ選手の母体となってきた。今年度は小学生も含めて100人超が在籍し、王子や後のイーグルスOBらのスタッフから実戦的で専門化した技術指導を受けている。

 祝賀サプライズの一幕の後、赤い「衣装」を気に入った様子だった矢島さんは「うれしいですよ。ありがたい」と語った。一緒のシーズンを過ごしている教え子たちには「究極は『日の丸』を身に着けるところまで、常にホッケー界の上を目指してほしい。僕らはうまくなる手助けを最大限していくまでです」。「氷都」苫小牧で教導の現場主義を貫く矢島さんはエールを送った。

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