えりも町大和で、養豚業の北海道中央牧場(本社北広島市、村上純一社長)が経営する子豚繁殖場「えりも農場」の施設が完成に近づいている。農場の年間子豚出荷計画は6万頭。
建設工事は、未利用の町有地約45ヘクタールを借り受けて一昨年8月に着工。離乳・子豚舎2棟、分娩(ぶんべん)・妊娠・交配・育成・堆肥・尿浄化舎が各1棟ずつの計8棟。ほかに管理棟、検疫舎、消毒ゲートなどが設置されている。畜舎内は防音、防臭、防疫に配慮し、窓の無いウインドレス構造になっている。
ふん尿処理方法は、ふんは完熟堆肥化して十勝方面の農家に供給し、尿は活性汚泥方式の浄化設備で北海道の放流基準まで浄化する。既に北海道漁連との協議、えりも漁協(神田勉組合長)の視察調査を終えている。また農場が使用する水量は1日約100トン。近くの川から取り入れ、清水状に浄化し、再び河川に放流する。
農場では、母豚2300頭から1回平均13頭を年2・5回出産させ、100日後に十勝管内音更町の飼育農場に出荷。飼料はトウモロコシと大豆の油搾りかすを使用し、広尾・十勝港の飼料備蓄場と一部は苫小牧から導入する。
生肉生産は、十勝から新冠町内の食肉加工施設・日高食肉流通センター(日高食肉センター経営)へ運んで出荷する。同センターは、北海道中央牧場も出資し、村上社長が代表を務める。農場従業員は農場長を含む22人で、全員が町内に居住し、うち9人は地元採用した。
大西正紀えりも町長は「誘致運動が実り、道漁連とえりも漁協の理解を得て町内に新たな産業が起業し、さらに町税の増収と町民雇用の場が生まれてありがたい。町内に地元生産豚肉を安価に提供できるようにも努力したい」と話している。