白老町のポロト湖畔で開業予定のアイヌ文化復興拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)を取り上げた絵本「おばけのマールとすてきなことば」が発刊され、出版元の中西出版(札幌市)から同町に110冊寄贈された。マールがウポポイを訪れ、ポロトの森の動物たちと遊ぶストーリー。町は寄贈された絵本を学校などに配布したほか、今年生まれる子どもたちにプレゼントする。
「おばけのマール」は、絵をイラストレーター中井令さん、文を絵本作家けーたろうさんが手掛ける人気絵本シリーズ。10作目となる最新刊は、札幌の円山に住むマールが白老のウポポイを訪ね、シマフクロウ(コタン)やキタキツネ(ヌプリ)、北海道犬(ポロ)、オコジョ(ウパシ)などポロトの動物たちと出合い、遊ぶ物語。絵にはウポポイの国立アイヌ民族博物館や、マールと動物たちがアイヌ民族伝統の輪踊りを楽しむ様子も登場する。
文章は「レクテ レクテ いっしょにあそぼう」「クイペルスイ クイペルスイ おなかすいたね」「イヤイライケレ ありがとう」などとアイヌ語と日本語で表記。製作に当たり国立アイヌ民族博物館や、ウポポイを運営する公益財団法人アイヌ民族文化財団が協力した。
新型コロナウイルスの影響でウポポイ開業が延期されているが、中西出版は白老の子どもたちにウポポイ登場の絵本を楽しんでほしい―と、白老町に日本語版(日本語、アイヌ語)90冊と、多言語版(日本語、アイヌ語、英語、ハングル、繁体字、簡体字)20冊の計110冊をこのほど寄贈。善意を受けて町は、町内の保育所や認定こども園、小中高校、子育てふれあいセンター、町立図書館、子ども発達支援センターなど各施設に配置した。また、ウポポイ誕生年の2020年に生まれた赤ちゃんにも、保健師の新生児家庭訪問などを通じて贈ることにしている。
絵本はA4変形判32ページで、1200円(税別)。道内の書店で扱っている。