苫小牧に新たに誕生する予定だった女子アイスホッケーチーム「KOMARU QUEENS(コマルクイーンズ)」が、新型コロナウイルスの影響で今シーズン発足を見送り、仕切り直すことを決めた。責任者で新チームの監督を務める藤原正則さん(55)は取材に応じ、「本当に苦渋の決断だが、コロナの影響で時間が止まってしまった。準備不足の中でチームを立ち上げられない」と唇をかみしめた。
道路建設ペリグリン、トヨタシグナスに次ぐ苫小牧の女子アイスホッケー「第三のチーム」として名乗りを上げようとしていた。インラインホッケーのチームを持つ苫小牧の小丸動力建設が母体となり、「5年後に日本一を取る」という目標を掲げ、所属選手が仕事と競技の両立ができる一定の環境を整えるはずだった。
今年6月1日からの本格始動を目指して2月中旬ごろから選手の募集へ動きだしたが、新型コロナウイルス感染拡大に阻まれた。3月下旬から4月中旬にかけて女子チームの監督たちとも連絡や協議を重ねたが、藤原さんは「スポーツ大会だけではなく、社会全体が延期、自粛が相次いでいる中でチームの創立に向けた活動が困難であるという判断になった」と振り返る。募集活動も十分にできなかったこともあり、「チームをつくるためには仕切り直す決断をせざるを得なかった」と話す。
コマルクイーンズがモットーに打ち立てたのは「若手の人材育成」だった。「若い選手が育ってこないと、日本の女子カテゴリー全体の底上げにならない」(藤原さん)という言葉の通り、該当年代選手の発掘と技術力強化が最重要の課題という見立ては極めて妥当だ。
かつて率いた岩倉時代のペリグリンを2002~03年の女子全日本選手権3連覇に導いた藤原さん。指導の一線に復帰し、現状の打開に向けて動こうとする意気込みは変わらない。「チーム創設を期待していた方々には本当に申し訳ない気持ち」と語ったが、「まだいつになるかは分からないが、コロナが落ち着いた後からはまた一からチームをつくり、女子アイスホッケーを盛り上げたい」との思いだ。