苫小牧市で最大規模のイベント「とまこまい港まつり」の実行委員会は27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、7月31日~8月2日に開催予定だった第65回のまつりを中止することを決めた。観光親善大使「ハスカップレディ」の募集など関連事業の実施も見合わせる。まつり中止は、前身の「観光まつり」が始まった1950年以来初となる。
27日午前、市役所で臨時会合を開いて決定。感染拡大防止へ、万全な態勢を整えるのが難しいと判断した。
関係者約30人が集まった会合で、実行委員長の岩倉博文市長は「新型コロナが猛威を振るい、予断を許さない。終息時期が見えていない中、中止は尊い人命を守るための苦渋の決断」と理解を求めた。
まつりは慣例で、8月第1週の金曜から日曜に開催。市内若草町の中央公園をメイン会場にステージイベントや中心街での市民おどりパレード、マーチングフェス、ポートカーニバルなど多彩な行事を繰り広げる。地域の夏の一大イベントで、昨年も約35万8000人が来場した。
中止に伴い、まつりテーマやプログラム表紙デザインなどの募集も見合わせる。
昨年12月時点で、8月6~9日に札幌市で開催予定だった東京五輪マラソン・競歩を見据え、日程を7月末に前倒す計画だったが、「第65回」は欠番になるという。
まつり中止の決定に、関係者からはさまざまな声が上がっている。
苫小牧商工会議所の森本恭行専務は「他のさまざまな行事も中止となる中、実行委の判断は妥当だと思うが地域経済に大きな影響を与えるだろう」と懸念を示した。「港まつりは苫小牧では最もにぎわうイベントで例年グッズなども販売。売り上げも結構あったので残念」と語るのは、苫小牧観光協会の藤岡照宏専務。「観光案内所でも来場をアピールしてきたが、こういう状況ではやむを得ない」と声を落とした。
市商店街振興組合連合会の秋山集一理事長は「影響は少なくないが今は市民が一体となって、終息に向けた努力をすることが大事」と話していた。