鉄道ファンから寄せられた資金で、安平町内に保存している特急用ディーゼル気動車「キハ183系」を活用したまちづくりを促進する有志の団体「あびら鉄道交流推進協会」(通称おおぞら会)が発足した。キハ183系車両を未来へ継承していくための維持管理と利活用、鉄道資源を生かして人々をつなぐゲートウエーづくりなど、鉄道を通じた交流と連携の推進、地域の活性化につなげる取り組みを展開する。併せてサポート会員を募っていく。
同会は、胆振東部地震からの復興に向けて1年限定で活動を展開してきた「あびら復興加速実行委員会」を引き継ぐ形で結成した。町やあびら観光協会をはじめ、町内外で鉄道の保存などに関わる26人で構成し、12日の設立総会をもって正式に立ち上げた。
今年度の主な事業としては、道の駅に設置した「キハ183―214」と旧鉄道資料館に保存している「キハ183―220」の維持管理をはじめ、車内ミニコンサートや愛称幕を作動させたネーミングライツの実施など車両を活用したにぎわい創出を計画。また道の駅「あびらD51(デゴイチ)ステーション」を利用した鉄道イベント、観光協会や企業などと連携して鉄道グッズの開発、販売、2022年のJR室蘭本線開通130周年に向けた準備などの構想も練っている。
設立総会で会長に就任したあびら観光協会の小林正道会長は「単なる車両整備が目的ではなく、資源を使って交流人口を増やしていきたい。楽しみながら知恵を出し合い、全国の鉄道ファンとの交流ができるような活動ができたら」と決意表明のあいさつ。
顧問となる及川秀一郎町長は「この貴重な財産と皆さんの力を借りて、観光振興も含めて震災からの復興を進めていく。コロナウイルスもまた地域の方と共に乗り越えていきたい」と結束を呼び掛けた。