むかわ町は、2020年度も全身恐竜化石「むかわ竜」(通称)など恐竜化石を生かしたまちづくりを具現化させるさまざまな取り組みを行う。6月20日から北海道博物館で開催される「恐竜展2020」への出展をはじめ、町が示す恐竜ワールド構想推進を実現するための「恐竜プロジェクト事業」を展開。地域資源を活用したビジネスを行うむかわ版・地域商社を支援するほか、地元を軸に観光振興を図るプログラムをつくり上げていく。
■恐竜化石で生まれたつながり
むかわ竜は昨年9月、新属新種として認定され、学術名「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名。11月には恐竜化石が縁となり、リトアニア・アクメネ地域市との協力関係を結んだ。その流れを逃さず、6~9月開催の恐竜展に出展するなど、各方面に向けて大々的なアピールを続けている。
20年度の町政執行方針で竹中喜之町長はむかわ町のほか、兵庫県丹波市、丹波篠山市、熊本県御船町、群馬県神流町でなる「にっぽん恐竜協議会」、道やむかわ町を含む5自治体でつくる「北海道恐竜・化石ネットワーク研究会」との交流、連携を強化していくことも強調。今後は北大総合博物館とのつながりを生かしてモンゴル国科学アカデミー古生物研究所との連携協定に向けて取り組みを進めており、「顔の見える化」を意識した連携人口の拡大にも努めていくとした。
竹中町長は「人と人、ものともの、地域と地域を未来につなげていく役割がむかわ竜にはあると思う。むかわ竜の持つ価値を各分野に広げて、町全体の活性化につなげていきたい」と話す。
■むかわ竜の価値を高める
町はむかわ竜など地域の資源を磨き、商品化や販売などビジネスにつなげていく新たな組織として地域商社を立ち上げた。グッズの開発や販売を展開するほか、町内事業者や起業家の商品開発を支援。町外向けにも販路を開拓するなどして、地域の稼ぐ力を高める。
また、相互協力協定協定を結んで3年目を迎える桐生短期大学部(群馬県みどり市)とも連携し、地域の資源を学生のデザイン力、アート力を生かして形として残す計画。恐竜関連グッズとしては従来の6分の1ほどの大きさのレプリカを製造し、教材などとして活用してもらうことを考えているという。
地域再生マネジャー事業としては、現在人気を呼ぶ化石発掘ツアーの継続や町全体を「恐竜博物館」と見立てた周遊ルートの作成、体験プログラムの企画を計画。地元で「恐竜の町」としての知名度を高めていく。町恐竜ワールド戦略室の加藤英樹室長は「産学に結び付けることで地域の一体感や交流人口、関係人口につなげていけたら。町民が自ら広めていく機運をつくっていきたい」と語る。
■2020年度むかわ竜
関連事業(当初予算から)
恐竜プロジェクト事業
・地域再生マネジャー事業 933万円
・地方創生推進交付金事業 2287万円
地域商社設立支援関連 2448万円
JR日高線むかわ竜ラッピ ング列車運行 275万円