白老町議会の中間会派みらい(及川保代表)は、1日開かれた議会運営委員会(小西秀延委員長)に、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、民族共生象徴空間(ウポポイ)の24日開業の延期と対応策を国に求める意見書案を提出した。国内でウイルス感染者が増え続けている現状を踏まえ、開業に伴う感染拡大リスクを避けることを趣旨とした内容。5会派の議運委員らが取り扱いを協議した結果、提案者のみらいを除き、与党2会派が反対、中間1会派が保留、共産が賛同の意思を示した。みらいは意見書案を6日開催の町議会定例会本会議に提出する構えで、採決の行方が注目される。
意見書案は、東京など大都市圏を中心に感染者が増加している状況を念頭に、▽ウポポイ開業で感染拡大の可能性がある現状において、町民の命、安全を一番に考える上で開業延期を検討すること▽開業の場合は感染防止策の徹底と、来場者の検温や入場者制限などの対応を取ること―を町議会として内閣総理大臣、文部科学大臣、国土交通大臣に求める内容。
議運で及川代表は、ウポポイが道内外から多くの人を受け入れる施設の性格を踏まえ、「東京で感染者が急増するなど国内でウイルス感染が拡大している中、予定通り開業するというのは危険ではないのか」と、開業に伴うウイルス侵入のリスクを指摘。「町民の命や健康を守ることが最優先。終息の状況を見極め、安心の状況の中でオープンすべきだ」と訴えた。
これに対し与党会派公明党の長谷川かおり氏は、開業に当たって感染防止策を徹底する必要性を強調しつつも「道内でウイルス感染が落ち着き、日常を取り戻すという動きの中、延期となれば地域経済の活動にも影響が出かねない」と懸念。同じく与党会派いぶきの吉谷一孝氏も「議会として延期を求めるのであれば、新型コロナと関係付けた明確な根拠を示さなければならない」と異議を唱えた。
一方、共産党の大渕紀夫氏は「まちの公共施設は再開したが、町外の各地から人が集まるウポポイは別物の施設。(新型コロナ感染拡大が続く中で)町民からも今開業して大丈夫なのかと危惧する声を聞く」とし、「町民の命と安全を守ることが重要だ」と意見書案に賛同した。中間会派きずなの前田博之氏は趣旨に一定の理解を示しながらも、会派内の協議が必要として態度を保留した。
みらいの所属議員3人は、6日の定例会本会議へ意見書案を提出する。公明党といぶきは反対討論を行う方針で、議長を除く議員13人による採決へ持ち込まれる。今のところ、賛成の立場は提出者のみらい3人と共産2人の計5人、反対はいぶき4人と公明2人の計6人となる見通し。
趣旨を前向きに捉えながらも態度保留のきずなは、松田謙吾議長を除く2人が採決に加わり、仮に2人とも賛成に回れば、議会側から国に開業延期を求めるという異例な意見書案は可決となる。