厚真町は1日、畜産業や肉製品の製造・加工、販売などを手掛ける合同会社「GOOD GOOD(グッドグッド)」=本社大阪市=と町内高丘地区にある大規模開発跡地の土地賃貸契約を結んだ。土地面積は約203ヘクタールで契約期間は22年。同社は放牧や牧草による和牛の繁殖・肥育事業から自社で経営する店舗での料理提供、販売などを展開する構想を持っている。
高丘地区の大規模開発跡地は以前、別の事業者がゴルフ場を造成して開業する予定だったが、経営難を理由に撤退し、町がスポーツメーカーから2012年に土地の寄付を受けた。その後は開発行為が原因となる災害が起こらないよう経過観察をし、利用方法を模索してきた。
そうした中、18年にグッドグッドが利用を申し出た。町が検討していた利用方法の考え方と合致し、今回の契約に至った。
この日、町総合福祉センターで行った調印式で宮坂尚市朗町長は「開発跡地を元の自然の状態に戻すのが難しかった中で、われわれが思い描いていた以上のことを考えてくれた。地方農業の可能性が広がる」とあいさつ。事業について「高丘地区の住民も注目している。生産から消費者へ届けるまで、理想とする農業形態に取り組んでいくことを期待している」と望んだ。
同社は、土作りから食肉の生産、食事までを一貫して提案する「和牛メゾン」と呼ばれるスタイルを掲げる。今後の展開としては年内に土壌調査、種まきなどを開始し、来年、再来年で畜舎、簡易厩舎(きゅうしゃ)の建築を進める考え。その後、試験的に牛を肥育し、結果を見ながら順次頭数を増やしていく。最終的には母牛、子牛合わせて200頭ほどを確保し、乗馬、企業研修の受け入れも検討する。並行して食事の提供も進めていく構想だ。
野々宮秀樹社長は「自然生態系をうまく活用して、単に畜産だけではなく、地域の皆さんと文化施設としてつくっていけたら。食肉文化を厚真に根付かせたい」と意気込みを語った。