厚真町は1日、地域おこし協力隊・農業支援員として新たに3人を採用し、宮坂尚市朗町長が委嘱状を交付した。新たに委嘱を受けたのは、郷野晃慈さん(37)、石井淳司さん(44)、山中輝夫さん(40)。任期は来年3月までで、最長で3年間継続できる。
札幌市出身の郷野さんは直前まで札幌の農場で勤務していたが、「やっているうちに自分で畑を持ちたい。厚真にもよく来ていたし、ここでやってみたいと思った」と言う。「勝手も違うと思うので、また一から学ぶつもり。ホウレンソウをやりつつ、自然栽培や珍しい野菜も作ってみたい」と意欲をうかがわせる。
大阪府出身の石井さんは函館で美容師として店を構えていたが、農業に転身することを決意。「食や野菜に興味を持つようになったのがきっかけ。シャンプーでもオーガニックという言葉が出ていたし、健康や栄養にも興味があった」と動機を語り、「お酒が好きなので、厚真産のクラフトビールやウイスキーも打ち出し、農産物を広げていけたら」と思いを抱く。
栃木県出身の山中さんは、親の転勤などで幼少の頃に英国、高校時代は米国で過ごし、直近は神奈川県で北米不動産投資の会社に勤務。香港や上海で暮らした経験もある中、厚真の自然環境や農業の将来性に魅力を感じ、家族3人で移り住んだ。「農業にいろんなテクノロジーを導入していければ、伸びしろがあるのでは。基盤を作った上で、その魅力を海外に発信したい。長寿の果実と呼ばれるハスカップの生産にも携われたら」と青写真を描く。
地域おこし協力隊は、地域外の人材を積極的に受け入れ、生活支援や地域の活性化などに協力してもらう制度。3人は農業担い手研修農場で研修を積む。宮坂町長は「3人のキャラクターをうまく生かして住民に溶け込み、地域にエネルギーを与えることを期待している。厚真町でも面白い取り組みが始まっているので、そこにスパイスを加えてほしい」と激励した。