白老町の第三セクター、白老振興公社(社長・古俣博之白老町副町長)は31日で解散する。土地の先行取得など公的事業の展開が見込めず、存続の必要性が薄れたことや、民族共生象徴空間(ウポポイ)整備に伴う自主事業ポロト温泉の廃止などで経営難に陥ったことも背景にある。公社が抱えていた町の委託事業は、4月1日に発足する一般社団法人しらおい振興センターが継承する。
公社は高度成長期のまちづくりに必要な土地の先行取得などを目的に、1971年に設立された。しかし、時代の変化で今後の大規模な土地取得事業が見込めない状況が続いていた。
公社の経営を支えていた町の委託事業も減少。委託業務は2013年度時点で学校給食センターの施設管理や調理、町立国保病院の給食調理など16事業あった。しかし、調理業務の委託先変更などで事業量が次第に減少。近年は小中学校の軽清掃や役場パソコン保守点検など7事業にとどまっていた。さらにポロト湖畔で経営していた温泉施設・ポロト温泉の敷地がウポポイ整備地に含まれ、国に土地を売却することになったため、16年度末で施設を廃止。自主収益事業も失った。
こうした状況から収支バランスが悪化。16年度に93万円、17年度295万円、18年度229万円の営業損失が発生し、19年度も見込まれている。好転の見通しが立たず、株式会社の営利企業として存続させる必要性も薄いとの認識から、株式の75%を保有する筆頭株主の町は解散を決断。昨年10月の臨時株主総会で、3月31日付での解散と財産整理を進める方針を決議した。
公社の業務は4月1日発足の一般社団法人しらおい振興センターが受け継ぎ、町役場近くの公社事務所建物を引き続き町から借りて事務所を構える。公社解散に伴い26人の職員は解雇されるが、多くはセンターへ移る。
センターは小中学校や町立病院の清掃など従来の5業務を引き継ぐほか、新たに役場庁舎清掃や町立病院の夜警、「広報げんき」編集など7業務を受託する予定のため、職員数は正規や臨時・嘱託を合わせて40~50人規模になる見通しだ。
町は、センターに委託する12業務の総事業費を約8800万円と見込んでいる。