苫小牧市内で3月に開催予定だったトライシティー(カナダオンタリオ州ケンブリッジ・ウォータールー・キッチナー各市)・苫小牧市国際アイスホッケー中学生交流会が、新型コロナウイルス感染の広がりで中止になった。市やトヨタ自動車北海道が競技を通じた両国親善、青少年育成を願って企画してきた一大イベント。今後は事態収束の時点でカナダ側と再協議し、延期開催を模索する構えだ。
苫小牧市制50周年、トヨタ自動車北海道とトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・カナダ(TMMC)との製品取引開始などを記念して1998年からスタート。相互に訪問を続けており、23回目に当たる今年は苫小牧市がカナダ側を受け入れる番だった。
2月3日に東胆振の中学2年生17人で編成された苫小牧選抜メンバーらが集まり、市内で説明会を実施。試合用のユニホームが配られたほか、交流会中の各種イベント、選抜練習日程などが確認された。
ただ、新型コロナウイルスの感染は世界的にも拡大の一途をたどった。トヨタ自動車北海道の北條康夫社長を会長とした苫小牧実行委員会は、2月中旬からカナダ側との情報共有を続けていた。本道はもとより苫小牧市内でも感染者が発生したことなどを受け、同月下旬に双方が合意した上で2019年度中の開催を見送った。
東日本大震災により苫小牧選抜のカナダ派遣を取りやめた11年度以来の中止判断。一方で、実行委員会から選手保護者宛てに送付された中止通知には「新型コロナウイルス感染症が収束した後に2020年度に延期として実施するかどうかを改めてカナダ側と検討」との一文が記されていた。
次年度開催の前例はある。03年にカナダケンブリッジ市で開催予定だった第6回大会は、当時緊迫化していたイラク情勢を考慮して派遣中止。翌04年の3月に派遣の第6回と受け入れで苫小牧開催の第7回を立て続けに行っている。
実行委員会事務局の深澤治稔トヨタ自動車北海道総務部担当部長は「早く情勢が収束して、次のステップの話し合いができたら」と話す。
苫小牧選抜の恵良学監督(苫小牧明倫中主幹教諭)は、「交流会は子どもたちにとって将来の目標設定にもなる貴重な経験。チャンスがあればなんとか機会を与えてほしい」と願った。