新ひだか町は6日、役場静内庁舎で町内のアイヌ関連団体や主要産業団体の代表らによる「第4回町アイヌ施策懇談会」を開いた。静内の真歌公園に町が整備するアイヌ文化拠点空間の中核施設について、これまで検討してきた既存2施設の建て替えによる一体化した新施設案から、既存2施設の改修と両施設をつなぐ新たな多機能型生活館の新築に変更した。国との折衝で、約10億円と試算していた新施設の事業費規模について、国が「想定外の事業費」と難色を示し、事業費を縮小する計画に方針を変えた。
真歌公園の拠点空間は、アイヌ文化を肌で感じる機会を継続的につくり、違和感なくアイヌ文化を受け入れる拠点と位置付けている。国が事業費の8割を補助するアイヌ政策推進制度の交付金を活用し、町が拠点空間の事業化に向けて検討している。
2019年度から始まったアイヌ政策推進交付金の同年度交付実績は7億3628万円で、日高管内の平取町(1億1689万円)、新ひだか町(5534万円)を含め14市町に交付。20年度は交付枠20億円に対し24または25市町村と配分先が多くなる見込み。21年度以降の交付金枠は不透明で、2カ年で建設を予定していた新ひだか町は「1自治体が年4億、5億円と交付を求めるのは難しい状況」(町企画課)としている。
前回までの懇談会では、ともに老朽化したシャクシャイン記念館(1978年築、鉄骨・鉄筋コンクリート造・延べ床面積340平方メートル、北海道アイヌ協会所有)と、隣接のアイヌ民俗資料館(82年築、鉄筋コンクリート造・延べ床面積375平方メートル)を建て替えで一体化し、2施設の機能のほか体験学習など新たな交流イベント・ホールの3ゾーンを設ける構想だった。
建て替えからの変更により改修2施設と資料館前を中心に建設するホールでつないだ生活館の全体施設のイメージは、多機能型交流拠点施設として一体化施設のコンセプトを引き継ぐ。町事業による改修に伴い、道アイヌ協会から譲り受ける予定になっているシャクシャイン記念館は建物自体を拡張し、内部の儀式空間は現在の1・6倍ほどになる。取り壊した旧シャクシャイン像の復元像は、資料館に置く。
交流拠点施設の運営・管理イメージとして、マネジャー(施設長)と運営管理主任(学芸員など)、維持管理主任の各1人を配置する。将来的に運営管理を支え協力する地域の利用者らによる拠点施設運営協議会も提案している。
新プランについて懇談会は了承した。