6日に開いた記者会見で厚真町長選(6月23日告示、同28日投開票)への4選を目指して正式に立候補することを表明した宮坂尚市朗氏(64)。出馬への決断を後押ししたのは、2018年9月に発生した胆振東部地震で最も大きな被害を受けた町のリーダーとして復旧、復興を自らの手で継続させていくという強い思いがあったからだ。
宮坂氏が出馬の意思を固めたのは今月3日午後。後援会や支持者からの「引き続き災害復旧の陣頭指揮を執ってほしい」という要請を受け、「険しい道のりになるが、皆さんと共に復旧、復興を目指していく」と力強く応じたという。
記者会見が行われた6日は胆振東部地震からちょうど1年6カ月。昨年は難しいと言われた営農の再開や農地などの土砂の撤去、災害工事などスピード感を持って進めてきた復旧作業の部分で一定の評価を受ける。
一方で、いまだ仮設住宅に入居し、先行きが見えず、不安を抱えながら生活している町民がいることも事実。宮坂氏はこうした現状を踏まえ、「そういう方々一人ひとりに丁寧な支援、フォローアップをしていかなければいけない」と説明。被災者の生活再建、中でも仮設住宅の入居期限が10月末に迫り、恒久的住まいの確保は1丁目1番地の課題だ。次期町政のリーダーは手腕が問われることになる。
同時に人口減少など地方が抱える問題も待ったなし。宮坂氏はこれまでの3期12年で長期的な総合戦略や移住定住など施策を打ち、人口減少対策に取り組んできた。その成果もあって、震災が起きる直前まで町の人口はわずかながら増加に転じる兆しがあった。震災で再び減少傾向になっているが、宮坂氏は「もう一度、一から始めるという気概で臨んでいく」と語気を強める。
人口減少や少子高齢化など地方が抱える課題に加えて、震災からの復旧復興、そしてその先にある厚真町の未来に向けて―。4選を狙う宮坂氏が4月に打ち出す公約、方向性が有権者にどのように響くか。
町長選への出馬表明は宮坂氏が最初で、現時点で他の立候補に向けた動きは見えない。仮に宮坂氏以外に立候補を表明する人が出なければ、2期連続の無投票となる。