白老アイヌ協会 文化復興と人材育成へ アメリカ先住民族の工芸品制作を視察

  • ニュース, 白老・胆振東部・日高
  • 2020年3月4日

 一般社団法人白老アイヌ協会(山丸和幸理事長)は2月下旬、米国ニューメキシコ州を訪れ、先住民族の伝統工芸品制作を視察研修した。研修団は、銀細工に秀でた現地の先住民族の高度な工芸品作りに刺激を受けて帰国。視察研修の成果をアイヌ文化復興に向けた人材育成や商品開発の活動に生かすという。

 同協会の視察研修は、国のアイヌ政策推進交付金を活用し、アイヌ文化の価値を高める商品開発や、伝統文化の伝承者育成を狙いに実施。協会員や町職員の計7人が2月20~25日の日程で、米国ニューメキシコ州北部に位置する州都サンタフェや周辺にある先住民族プエブロ・インディアンの村を訪ねた。

 アメリカ先住民族には多数の部族があり、先祖伝来の土地や先住民政策で与えられた地域を保留地として領有。サンタフェ周辺にも数万人の先住民族がおり、各部族が保留地で独自の言語、文化を守りながら暮らしている。銀細工を得意とする部族が多く、トルコ石と銀細工を組み合わせた指輪、ネックレスなどアクセサリーの伝統工芸品は世界的に高い評価を受けている。

 研修団はポホアケ族とズーニー族の居留地を訪れ、高度な工芸品制作の技術を視察。19部族が運営に携わる同州アルバカーキ市のインディアン・プエブロカルチュアルセンターなども訪ね、工芸品販売の様子を見て回った。

 同センターの販売コーナーに並ぶ工芸品は、銀細工アクセサリーをはじめ、各部族の伝統の意匠・文様を施した焼き物や布製品、現地の植物で作る籠製品など種類は豊富で、クオリティーの高さに目を見張ったという。売上金はルールに基づいて各部族で分け合うなど販売体制もしっかりと整い、制作に当たる同胞の生活向上につなげている取り組みにも刺激を受けた。

 研修団の団長を務めた同協会の岡田路明事務局長=苫小牧駒沢大学客員教授=は「さしたる産業、仕事のない居留地の人々が、生きるために工芸品作りに真剣に向き合い、高度な技術を獲得していった」とし、「世界から評価されるアートの域にまで工芸品の質を高めた取り組みが、民族の誇りと自信を生み出した」と視察を振り返る。伝統文化を守りつつ、時代とニーズに合ったアメリカ先住民族の工芸品制作の現場に触れた研修団一行の誰もが、「アイヌ民族もこのままではいけない」との認識を深めたという。

 同協会が民族共生象徴空間(ウポポイ)開業をにらんだ商品開発を進める中、岡田事務局長は研修成果を今後の商品作りや文化伝承者の育成に生かしたいとし、「質の高いアイヌ工芸品作りに携わる人の裾野を広げ、アイヌ民族の暮らしの向上と誇りを取り戻す。それが本当の意味での文化復興につながるはずだ」と話した。

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