王子イーグルス シーズン総括(中)秋冬に巻き返し-成長感じた中盤戦

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2020年3月2日
攻守の歯車がかみ合い、躍進を遂げたシーズン中盤の戦い=昨年10月、対デミョンキラーホエールズ戦、白鳥王子アイスアリーナ

 ■シーズン半ばに破竹の勢い

 スタートダッシュにつまずいた王子イーグルスが巻き返しのきっかけとしたのは、ホーム苫小牧での対サハリン3連戦。札幌では2連敗し、昨年10月15日の苫小牧でのシーズン13試合目。先行してもこらえ切れず逆転を許すケースを課題と捉え、試合時間帯半ばの守備に関する意識付けを変更した。

 序盤に2点を先行して第2ピリオドも守りからリズムをつくり、攻撃につなげた。サハリンの高い攻撃力を減衰させ、6―2と快勝した。

 戦法の骨幹が確立してからは昨季レギュラーリーグ(RL)1位のデミョンキラーホエールズ(韓国)に3連勝を収めるなど快進撃を続け、横浜で11月24日のクレインズ戦まで破竹の8連勝をマークし、一時は当時の首位に立っていたアニャンハルラ(韓国)に勝ち点5差まで詰めていた。

 10月のサハリン戦から12月21日の東北フリーブレイズ戦までの12試合は10勝2敗と大きく勝ち越し、42得点21失点の内容。攻守にわたる安定感が数字にも表れ、菅原宣宏監督も「序盤はやるべきことはやれていても結果が伴わず歯がゆい思いもした。シーズン半ばで結果もついてきた。選手一人ひとりがリーダーシップを発揮していたし、日々成長も感じた頃」と、その間を振り返った。

 ■トーナメントに難儀―全日本選手権

 シーズン当初に掲げたもう一つの攻略目標は全日本選手権の連覇。直近のRLでは連勝街道を突き進み、攻守にわたって力を見せつけた2018年大会の印象は強烈とあって、優勝候補の筆頭に王子イーグルスの名が挙がっていた。

 しかし、12月6日から東京で大会が開かれた際、アジアリーグで克服しかけていた課題がまた浮き彫りとなった。

 初戦の対中央大戦では、人数5人対3人のパワープレーの場面でパスが通らず、得点できない場面が見受けられた。

 準決勝の東北フリーブレイズ戦では修正が滞った。東北の守りは堅固になっていて、8度あったパワープレーでは1得点のみ。当時3割を上回ったリーグ断トツの成功率発揮はならなかった。際どい「ノーゴール判定」にも遭い、延長の末、惜敗した。

 3位決定戦では、ひがし北海道クレインズに辛勝して3位を取ったものの、FW高橋聖二は「守りと攻めを切り替えられなかった。チャンスに決め切れなかった」と悔しい結果を振り返った。

 アジアリーグのRLが再開し、同21、22両日、全日本と同会場のダイドードリンコアイスアリーナ(西東京市)では東北と対決。パワープレーをものにして難点を再び克服し、連勝で雪辱を果たした。

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