むかわ町は28日、2020年度当初予算案を発表した。一般会計は19年度当初予算比を1.2%上回る102億2300万円。胆振東部地震で住宅を被災し、応急仮設住宅での暮らしを余儀なくされている被災者の住まいの確保に向けて一部災害公営住宅を含めた公営住宅の整備や鵡川高校野球部寮の再建を進める。さらにまちなか再生事業など震災からの復旧、復興に係る事業を中心に、ハドロサウルス科の恐竜全身骨格化石「むかわ竜」(通称)を活用した恐竜プロジェクトや地域商社の設立への支援などを盛り込んだ。
特別会計、企業会計などを含む総額は0・1%減ながら、旧鵡川町と旧穂別町の06年の合併以降、最大だった19年度とほぼ同等の145億8300万円。
歳入は、町税が19年度当初予算比で1・5%減の10億円、地方交付税は2・5%増の41億5000万円を見込んだ。一方の歳出では、道の駅「四季の館」の整備など総務費で10億3600万円、アイヌ政策推進交付金事業などに係る民生費に17億2500万円、さらに18年9月の震災で被災した人たちの住環境整備など土木費で14億1200万円、鵡川高校野球部寮の再建などに係る教育費として10億2100万円を計上した。
このほかの事業としては、新年度中の着工を目指す胆振東部消防組合消防署鵡川支署庁舎移転整備。移住定住促進事業では「はーとふる・ほーむ助成」の継続や移住に掛かる経費を支援する「UIJターン新規就業支援」、町外への流出を抑制し、定住促進につなげる「民間賃貸共同住宅等建設促進事業助成」を創設して住環境の充実に努める。国が創設した「アイヌ政策推進交付金制度」を活用して宮戸地区に生活館を整備し、文化講演事業などを展開する取り組みも計画している。
竹中喜之町長は「就任2期目の折り返し。復興計画を基本に、創造的な復興と地方創生を目指し、まずは被災した方の住まいの確保を最優先に考えて進める」と説明。「復興の施策を具現化していく上で、まちの将来を見据えた重要な年になる」と述べた。
町は3月9日に開会する町議会定例会に新年度予算案を提出する。
むかわ町 20年度の主な事業
▽まちなか再生事業 2293万円
▽恐竜プロジェクト事業 4731万円
▽地域商社設立支援関連 2448万円
▽生活館整備 3億235万円
▽JAとまこまい広域倉庫建設補助 5882万円
▽林道専用道芭呂沢支線開設事業 4452万円
▽小規模治山事業 3637万円
▽移住定住促進事業 6505万円
▽文京ハイツ整備事業 4億1000万円
▽末広団地C棟整備事業 6億3000万円
▽消防署鵡川支署庁舎移転整備事業 3006万円
▽鵡川高校野球部寮取得 3億1800万円