白老町で4月24日開業のアイヌ文化復興拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)について、町は町民の入場料を無料にする事業を2020年度に実施する計画だ。入場が有料になる高校生の年齢以上の町民に1回分の入場券と引き替えられるはがきを送付し、利用してもらう仕組みを想定。ウポポイが発行を予定している年間無料パスポートを希望者に付与することも考えている。
無料化は単年度事業とし、国のアイヌ施策推進交付金の活用を見込み、町の20年度一般会計予算案に1930万円を計上した。
町アイヌ総合政策課によると、無料化は入場1回分で16歳以上の町民にはがきを送付。ウポポイで入場券と引き替え、施設を見学してもらう仕組みを想定する。また、希望者には町役場などで申請手続きをしてもらい、年間無料パスポートを付与することも考えている。1回分の入場無料、年間パスポート発行のいずれかを選択してもらう方式を検討している。
はがきは早ければ5月下旬以降に送付。対象は1万5000人程度を予定。町は「地元で開設されるウポポイへの親しみを町民に持ってもらいたい。実際に足を運ぶことで、ウポポイの良さを周囲に伝えてもらうことも期待したい」と言う。
これとは別に、町教育委員会は町内の小中学校と高校の教員、町内2校の高校生に1回分の入場料を無料にする事業を20年度に実施する計画。新年度一般会計予算案に196万円を計上した。
対象となる教員は小中学校6校と公立・私立の高校2校の計175人程度。ウポポイ見学を通じてアイヌ民族の歴史や文化を学び、教育活動に生かしてもらうことを狙いとしている。高校生は町外から通う生徒も対象とし、計660人程度を想定。無料化の方式は今後検討する。
ウポポイを管理運営する公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌市)が昨年9月に公表した入場料は、大人(一般)1200円、高校生(同)600円、中学生以下は無料。町は昨年7月、ウポポイ入場料に関する白老町民への配慮を国に求めた経緯がある。