白老町内で食品販売や仕出し料理を扱う4社が、民族共生象徴空間(ウポポイ)に訪れる団体客へ弁当を提供する会社「シラオイ・イペ」を立ち上げた。白老の食材を使い、アイヌ民族の伝統料理をアレンジした弁当で、4月24日のウポポイ開業に合わせて予約注文を受ける。同社の役員らは「白老とアイヌ文化をアピールしたい」と意気込む。
会社を設立したのは、スーパーくまがいの熊谷商店(熊谷貴洋社長)、せんだ(仙田公昭社長)、バルクマート(堀田尚史店長)、しらおい食楽(杉本健一社長)。
4社は2年前、白老仕出し組合をつくり、ウポポイ工事関係者に弁当を提供していたが、「開業後の団体客に食を通じて白老の魅力を伝えたい」と今月、アイヌ語「イペ」(食べる)を社名に取り入れた会社を共同設立。アイヌ料理をアレンジした2種類の弁当を開発した。
しらおい食楽が考案した「イペピリカ弁当」(税別1200円)はユク(シカ肉)のあぶり焼き、サクイベ(焼きザケ)、サーモンずしチポロ(イクラ)のせ、ラタシケプ(カボチャの混ぜ物)など9種の料理を詰め合わせた商品。バルクマート考案の「しらおいヒンナ弁当」(同1000円)は、ギョウジャニンニク入りソーセージ、シカ肉のグリル、白老牛焼き肉・白老産アスパラ添え、いなきびご飯など11種のメニューを入れて仕上げた。
いずれもサケやシカ肉などアイヌ民族が利用した食材と白老産を意識して開発。弁当の包装紙には、ウポポイの国立アイヌ民族博物館やアイヌ文様、サケやヒグマなど野生動物のイラストを採用した。シラオイ・イペの専務に就いた堀田さんは「アイヌ料理のエッセンスと、この地の食材が一つの弁当箱の中に共生し、白老らしい弁当が出来上がった」と胸を張る。26日には町内のカフェに関係者が集まり、試食会を開いた。
シラオイ・イペは今後、さらに商品開発に挑み、ウポポイ開業に合わせてホームページで団体客やツアー会社から予約注文を受ける。取締役の杉本さんは「食を通じて白老とアイヌ文化の魅力を発信したい」と言う。