白老町は25日、2020年度の各会計予算案を発表した。一般会計は19年度当初予算比で5％減の104億3000万円。5年ぶりに前年度を下回ったものの、3年連続で100億円台を計上した。予算案には民族共生象徴空間（ウポポイ）開業効果を取り込むための循環観光バス運行、住民要望の多い町道改修や中学生までの医療費無料化など、経済活性化と町民生活の充実に力点を置いた事業を多彩に盛り込んだ。

　一般、企業、特別を合わせた全10会計の予算総額は同2％減の195億3528万4000円。このうち一般会計は5億5000万円減少したが、過去10年間では3番目に大きい予算規模となった。

　一般会計の主な歳入で町税は、景気回復傾向に伴う法人町民税の伸びにより同2・1％増の23億4499万5000円を計上。地方交付税は、国が創設した地域社会再生事業費を見込んで同2％増の37億3500万円とした。

　一方、歳出は職員給与費や公債費など経常経費が85億7349万4000円で今年度とほぼ横ばい。政策的予算の事業費は同19・8％減の18億5650万6000円で、白老駅自由通路建設などウポポイ関連の大型ハード事業が19年度でほぼ終わったため、大きく減った。

　事業費には、地域内循環観光バス運行や駅北観光商業ゾーンでのロングランイベントなど、ウポポイ開業を観光・産業振興につなげる経費を計上。生活基盤の向上を図るため、各所の町道や橋、道路排水路、老朽化した町民温水プールといった公共施設の改修費も積極的に盛った。

　また、中学生までの入通院医療費の無料化、後期高齢者の健診内容を拡充する重症化予防対策、聴覚・言語障害者を対象にしたインターネット活用緊急通報システム導入など、安心の暮らしに向けた事業費を計上。町民へのウポポイ入場無料券（1回分）配布や年間無料パスポート発行、若い世帯の移住定住を促す家賃補助、新婚世帯の住居費助成費も盛り込んだ。

　予算案について戸田安彦町長は「ウポポイを最大限に活用した経済活性化の推進や、子育て支援、公共施設の長寿命化など町民生活に密接する事業を幅広く実施する積極予算とした」と述べた。

　町は3月9日開会の町議会定例会に新年度予算案を提出する。

　　　　20年度の主な新規事業

▽結婚新生活支援事業　　　　　　　　　300万円

▽移住定住促進家賃サポート事業　　　　300万円

▽ウポポイ入場料町民無料化事業　1929万7千円

▽産婦健診・産後ケア事業　　　　　　69万4千円

▽後期高齢者重症化予防対策事業　　　99万8千円

▽地域内循環観光バス運行事業　　3493万5千円

▽Net119緊急通報システム事業　53万4千円

▽消防車両更新整備事業　　　　　6366万8千円

▽公民館講座事業　　　　　　　　　　　　60万円

▽町民温水プール改修事業　　　　　　608万3千円

▽リクエスト給食事業　　　　　　　　　250万円

▽盛り土造成地変動予測調査事業　　507万8千円