安平町教育委員会は17日に開かれた町議会全員協議会で、2023年度に早来地区で開校する早来小、中の一貫教育を掲げた「義務教育学校」に合わせ、小中一体型の校舎に係る基本設計案を提示した。児童、生徒のみならず、図書室や体育館など町民にも開放した学校づくりを展開する。町は20年度に実施設計費約1億5000万円を計上する予定だ。
早来地区で建設を目指している小中一体型の校舎は、現早来小のグラウンドを活用して新たに建設。校舎は2階建て鉄筋コンクリート造りで、延べ床面積約6500平方メートル。
町教委の構想によると、各クラスごとの普通教室のほか、特別支援教室を3室用意。従来の教室よりもスペースを広く確保するほか、壁などの仕切りも少なくしているのが特徴だ。中学生に関しては、教科ごとに教室を移動しながら授業を受ける「教科センター方式」と呼ばれるシステムも検討している。
一般への貸し出しも想定している体育館は、2階もランニングスペースとして使用できるメインの大アリーナと中アリーナでは文化イベント、武道場として使えるように考えている。図書室も早来町民センターの蔵書を移すなど、町民も利用できるように機能を拡大させるほか、読書スペースを十分に確保する。また、グラウンドは小学生用と中学生以上向けの野球場をそれぞれ設置するほか、陸上トラック、テニスコートなどを設ける。災害発生時には体育館のアリーナを避難所として開放するほか、備蓄機能も持つ。
参加した議員からは「例えば震度7にも耐えられる―など住民サイドに立った基準を明確にしてほしい」といった要望があったほか、非常口やトイレの数をもっと確保すべきだ―といった声が寄せられた。町教委はこれらの意見も踏まえながら、3月末の基本設計策定を目指す。
小中一体型の校舎は、胆振東部地震で損壊した早来中学校の再建と合わせて行う。予定通りいけば21年度に着工し、22年度秋までに完成させる見通し。その過程で20年度から施設分離型の小中一貫型の小学校・中学校を導入し、校舎完成後の22年度3学期から児童生徒は新校舎に移るスケジュールを組んでいる。