白老町は、懸案の町立国保病院改築について、病床数を現行の58床を下回る40床程度を目安に検討する方針を14日の町議会特別委員会で示した。今後の人口推計や医療需要を見据えてふさわしい病床数を分析し、規模を明らかにした。町は9月ごろまでに新病院の内容、建設場所などを盛り込んだ改築基本方針のたたき台を示す。
新病院の病床数の方向性について町は昨年8月に「20床以上」としていたが、2040年までの長期的視点で人口推計や医療需要動向の分析を基に今回、より踏み込んだ数字を示した。
白老町の人口に関しては、国立社会保障・人口問題研究所の調査で、40年に現在より7000人以上少なくなる9180人と推計。高齢化の進展で65歳以上の老年人口の割合は約56%と半数以上となり、回復期を中心とした入院需要はほぼ横ばい状態で続くと想定した。人口が減少しても特に75歳以上の入院需要が見込まれ、40年の入院患者数を1日当たり32・5人と試算。近年の最高病床利用40床を踏まえて、「現在の一般病床58床は改築を機に40床程度へダウンサイズしても40年までの患者需要に対応できる」との考えを示した。
町は昨年8月に病院改築の方向性について「公設公営を基本に20床以上を持つ病院」とし、急性期病床の一部を地域包括ケア病床へ転換するなど回復期患者受け入れ体制を強化する考えを示した。患者ニーズに応じた医療体制を目指す新病院の基本方針のたたき台に関して、町は町議会特別委員会で「9月ごろまでに示したい」と述べた。
一方、同特別委で町は、町立病院の19年度決算見通しについて「昨年12月の常勤医師1人の退職などが響いて約3300万円の赤字になる」とし、収益の落ち込みで3年連続の赤字決算となる見通しを説明。経営改善に向けて「医師確保に全力を挙げたい」とした。