苫小牧アイスホッケー連盟の女子審判、奥田久美子さん(25)は1月、国際アイスホッケー連盟(IIHF)ラインズマンのライセンスを取得した。日本連盟の推薦で資格を手にし、今後は国際大会の審判団に加わっていく。奥田さんは「審判を通じて競技の発展に貢献していきたい」と抱負を語った。
ライセンス取得によって国際試合のうち女子の試合でジャッジができる。奥田さんは「第1の目標をクリアできた。これまで教えてくれた先輩の審判たちに恩返しをするつもりでレベルアップしていきたい」と話す。
奥田さんは大阪府出身。小学1年に苫小牧に移り住んで間もなくアイスホッケーを始めた。女子チーム、苫小牧ネクサスに所属し、北海道栄高校男子部活動のマネジャーを務めて卒業後、トヨタシグナスFWの選手として競技に打ち込んだ。22歳で現役引退してから審判の道に進んだ。奥田さんは「アイスホッケーを一度やめて、競技から離れたことを後悔することもあった。審判としてアイスホッケーに関わることができて、うれしく感じている」と言う。
審判を始めた当初、ルールに関する猛勉強で先輩レフェリーやラインズマンの背中を夢中で追い掛けた。奥田さんは「ルールはほぼ覚え直しに近かった。一日中ルールブックを見ている日もあった」と当時の苦労を振り返る。
実戦での経験を積む中で、審判の難しさに直面することもあった。「自分の一笛で試合の展開が大きく変わることがある。そのことにプレッシャーを感じる」と奥田さん。「選手との信頼関係が大事だと痛感させられた」と話す。
審判としての技量は着実に向上している。昨年8月の女子U18のジャパンチャレンジマッチでは、審判の評価項目のうち、選手のプレーに対する姿勢とスケーティングの2項目で高い評価を受けた。奥田さんは「特にスケーティングは選手時代に培ったものが生きている」と自信をのぞかせた。
23日からフィリピンで開かれる国際大会で、笛を吹く予定だったが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止になった。海外試合のデビューはお預けとなったが、「世界選手権やオリンピックなどを目標に技術を磨いていきたい。チャンスがきたときに、自分の役目を全うできるように準備していくだけ」と意気込みを語った。
ライセンス所持者の証しであるワッペンを手にした奥田さん。審判を務める際に意識していることは「選手が試合に集中できるようにスムーズな試合進行をすること」。「そのためにも選手や他の審判とのコミュニケーションを密にして信頼関係を築くことを心掛けたい」と語った。