安平町のJR追分駅前にある空き店舗を利用して整備したコミュニティスペース「ENTRANCE(エントランス)」の来場者数が、オープンから3カ月足らずで1000人を突破した。子どもの遊び場や大人たちが会話を楽しむなど幅広い年代層の人々が利用。町の学びサポート事業「あびらぼ」の教室や地域食堂といったイベントも積極的に行われ、人が集う「交流の場」として順調なスタートを切った。
エントランスは、胆振東部地震で被災した町の復興を支援する有志団体「一般社団法人安平町復興ボランティアセンター」が、町民が集う憩いの場として昨年11月16日にオープンした。食事会で使えるようなキッチンエリアと机や椅子を自由に動かせるフリーエリア、小上がりを用意し、一般には無料で開放している。オープニングイベントには町内外から105人が訪れ、新たな交流施設の開設を祝った。
エントランスを運営する同センターによると、平日で2月10日までに62日間開放し、来場者数は延べ1081人(オープン初日を除く)に到達。内訳では町民が約8割を占め、活用方法は子どもの遊び場や主婦の談話、駅の待合所としてなど「理由はさまざまだが、リピーターが多い」と分析する。同センターの石川恵理さん(33)は「初年度は町内の人にどれだけ知ってもらえるか、来てもらえるかだったが、思ったよりも多くの人が来てくれている」と手応えを語る。年代別に見ても未就学児が15%、小学生が17%、中高生が11%、18~64歳が48%、65歳以上が7%とほぼ満遍なく利用されていることが分かる。
また「あびらぼ」の開催場所にもなっていることや相次ぐイベントも利用増を後押ししている。8日には段ボールを使って仮想タウンを作る「ごっこ遊び」が行われ、町内外から訪れた子どもたちが自分たちの基地を作るような感覚でタワーやハウス、高層マンションなどの工作を楽しんだ。あびらぼに通い、この日も兄弟でイベントに参加した追分中学校3年の俣野林太郎君(15)は「温かいし、来やすい場所」と話す。このほかにも1日限定の地域食堂やセミナーとしても活用されている。
同センターの台正人広報部長は「必要としてくれている人がいることを実感できてうれしい」とし、今後はエントランスの存在を知らない町民への周知を検討していく。「1日限りでもいいので、町民の方から出てきた声を実現させることが大事。意見があれば積極的に採用し、イベント開催につなげていけたら」とさらなる意欲を見せる。