厚真町は、新生児に椅子を贈る「君の椅子」プロジェクトとして、2018年9月6日の胆振東部地震以降に生まれた41人の乳幼児にオリジナルの椅子をプレゼントした。8日に町総合ケアセンターゆくりで贈呈式があり、出席した赤ちゃんに自分の名前が刻まれた椅子を手渡した。
同プロジェクトは、北海道文化財団理事長の磯田憲一さんが旭川大学の学生と06年度から始めた事業。上川管内の東川町、剣淵町など5町と長野県売木村、福島県葛尾村の7自治体が参加している。厚真町は胆振東部地震以降に生まれた子どもたちを地域で支え、未来へつなげていこうと道内で6番目、全国で8番目の自治体としてこのプロジェクトに加わった。
椅子は木材でできており、それぞれに子どもの名前を刻印した。18年生まれと19年生まれでそれぞれデザインが違い、旭川市の家具職人らが手掛けた。
贈呈式で宮坂尚市朗町長は「生まれてきてくれて、ありがとう」と激励し、「皆さんの子育てをわれわれもしっかりとサポートしていきたい」とあいさつ。出席した24組の親子に直接椅子を手渡した。成田智人さん(35)は1歳2カ月の美来ちゃんと椅子を受け取り、「存在意義を示すうれしいこと。この子にとって『生まれてよかった』という人生になれば」と期待。志田亜矢子さん(35)は菫ちゃん(9カ月)を抱えながら「たくましく、何事にもめげない立派な子に育ってほしい」とまなざしを向けていた。
磯田代表は「生まれてくれてありがとう、君の居場所はここにあるからね―という意味を込めた世界に二つとない椅子。数十年後に誕生を祝ってくれた証しとして残り、厚真町の未来を担う人材に成長してほしい」と話していた。