厚真町は、胆振東部地震で被災した町民の様子や心の変化に気づき、声掛けや見守り活動を行う「ゲートキーパー」を養成する講座を新年度事業として盛り込む方針を示した。町が現在策定を進めている復旧・復興計画案の第2期に明記する。町や専門家につなぐパイプ役として、地域の中に心の健康づくりに関わるゲートキーパーを配置することで心身の健康を支援する体制を整備していく考えだ。
ゲートキーパーは周囲の心の変化や悩みに気付き、声を掛けたり話を聞いて相談に応じたり、関係機関へ橋渡しする人材。「命の門番」とも位置付けられており、近隣の苫小牧市では養成に向けた取り組みをすでに行っている。
同町では現在、社会福祉協議会が設置する生活支援相談員や苫小牧保健所などと連携し、生活や健康に関する相談を実施しているが、ゲートキーパーを養成することで幅広く情報をキャッチし、心のケアにつなげる。
町民福祉課によると、養成講座は今秋以降、北海道臨床心理士会の臨床心理士を講師に招いて3回実施する計画。民生委員などを対象に20~30人を養成する考えで、ゲートキーパーの認定を受けた担当者を地域ごとに配置し、支援が必要な住民がいれば、町に報告。町の保健師や同心理士会の臨床心理士らが相談など支援対応する―流れにつなげる。
町が昨年、成人を対象にした住民健康診断で行ったアンケート(約780人回答)の結果、約16%に当たる126人がうつ状態や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症の疑いがあることが判明。小中学校で実施したアンケートでも、約360人中50~60人が「一人でトイレに行けない」「よく眠れない」などと回答した。さらに今後は、仮設住宅から新たな生活環境への移転などから、生活再建の格差による不安増も懸念される。
同課は「町民の心の変化をいち早く把握し、速やかに対応できるようにしていきたい」と話している。