第5回全日本選抜少年野球U12チャンピオン大会は8、9の両日、兵庫県淡路市の佐野運動公園第1野球場などで行われた。初戦を突破した苫小牧選抜は、2回戦で地元の兵庫西宮選抜を9―2のコールドで下し、準決勝では岩手県選抜に7―2で快勝した。決勝ではISクラブ選抜(石川県)を6―1でかわし、本道勢としては初となる優勝を成し遂げた。【淡路市、工藤航】
大会では、小学生らしく元はつらつのプレーが繰り広げられつつ、全国大会にふさわしいレベルの高いプレーも随所で光った。こうした中、苫小牧から現地へ駆け付けた保護者や関係者たちが大きな声援を送り、苫小牧選抜の選手たちを元気づけていた。
9日
▽決勝
ISクラブ選抜(石川県)
0001000=1
024000X=6
苫小牧選抜
(I)西本、池田―大豊、西河
(苫)矢吹、松尾、矢吹―吉田
(本)松尾(苫)
(二)坂野(苫)
苫選抜が一気にリードして頂点に立った。二回、相手の失策や野選に乗じ2点を先制すると、三回には走者を置いて松尾の2点ランニング本塁打などで一挙4点を追加し、試合を決めた。投手陣も矢吹、松尾がテンポの良い投球を見せ、相手打線を5安打1失点にまとめた。
▽準決勝
岩手県選抜
000200=2
42010X=7
苫小牧選抜
(六回時間切れ)
(岩)小澤、上野、金野―尾形、立花
(苫)矢吹、高杉、矢吹、松尾―吉田
(本)上野(岩)
(二)福澤(苫)
苫選抜打線が一回から爆発した。1死から死球、盗塁、相手の失策で得点圏に走者を進め、吉田、福澤の適時打などで4点リードした。その後も二回に2点、四回にも1点と着実に追加点。
ISクラブ選抜2―1岡山県選抜
8日
▽2回戦
兵庫西宮選抜
00002=2
2502X=9
苫小牧選抜
(五回コールド)
(西)福本、谷道―平山
(苫)矢吹、高杉、山野―吉田
(本)松尾2(苫)
苫選抜が初戦に続くコールド勝ち。一回1死から走者を置き、松尾の2点ランニング本塁打で先制すると、二回にも矢吹の適時打と松尾の2打席連続となるランニング本塁打で5点を追加。さらに四回にも相手のミスにつけ込みつつ2点を追加し、地元チームを下した。
岡山県選抜10―0兵庫淡路選抜、ISクラブ選抜3―1秋田大仙ビックフィールド、岩手県選抜2―1オール城陽2019(京都)▽1回戦 兵庫淡路選抜8―1小豆島クラブ(香川)岡山県選抜5―1オール平野選抜クラブ(大阪)ISクラブ選抜10―3青森県選抜、オール城陽2019(京都)4―1富山ジュニアベースボールクラブ、岩手県選抜4ー2福井市選抜フェニックス、兵庫西宮選抜4―0壱分ジュニアシャインスターズ(奈良)
新たな歴史の一ページ 苫選抜旋風巻き起こす
苫小牧の野球に新たな歴史の一ページが加わった。全国の強豪に立ち向かった苫選抜18人が一丸となって戦い抜き、淡路に”旋風”を巻き起した。その瞬間、選手たちはもちろん、指導者や保護者たちも感極まり、喜びもひとしおだった。石川将一監督(沼ノ端スポーツ少年団)は「子どもたちが自信をもってやってくれたし、最高のチームになれたと思う」と語った。
初戦を難なく制した苫選抜は、兵庫西宮選抜、岩手県選抜相手に長短打やバントや盗塁などの小技を巧みに絡めて大勝し、勢いが止まらなかった。
決勝も平常心。二回に足を使った攻撃で相手のミスを誘い、無安打で2点と先制。三回には松尾和則(ときわ澄川ライオンズ)の右中間への2点ランニング本塁打や機動力にものを言わせ、着実に追加点を挙げて勝負を決めた。
2005年の駒大苫小牧高甲子園優勝を思わせる日本一の戦いぶり。初戦から決勝まで6点以上を奪い大会通じて打線が爆発した苫選抜は、全体練習だけではなく、自宅でも自主練習に努力を傾けた選手が多いという。福澤旬主将(沼ノ端ジェッツ)は「苫小牧の人たちだけではなく、(対戦した)北海道の人たちの思いを背負ってきた。本当にうれしい」と話した。
17年と18年は全道大会で思うような結果を残せず悔しい思いをした苫小牧勢。その後、地道に積み重ねた努力が今年、大きく花開いた。チームの切り込み隊長として活躍した横谷塁(拓勇ファイターズ)は「全力で一つ一つのプレーをこなし、連覇を成し遂げてほしい」と次世代に思いを託した。
選抜チームの向井拡充代表(飛翔スワローズ監督)は「これまでたくさんの支援をしてくれた苫小牧市民や道民の方々、本当にありがとうございました」と感謝が尽きなかった。
投手陣が実力発揮
打撃陣の奮闘もさることながら、苫選抜投手陣も大きな力を発揮した。大会では4投手が登板。細かな継投で、全試合を2失点以内にまとめた。
主戦の矢吹太寛(沼ノ端スポーツ少年団)は、全試合先発のマウンドに上がった。テンポのいい投球と低めに集める制球力は大舞台でも発揮され、相手打者を手玉に取った。「大会序盤はあまり球が走っていない場面もあったが、しっかり投げ抜くことができた」との手応えだ。
高杉景斗(日新スポーツ少年団)も準決勝まで3試合に登板。長いリーチの左腕から繰り出す球で何度もチームのピンチを救い、山野孝太朗(新生台イーグルス)も初戦と2回戦の最後に登板し、きっちりと試合を締めくくった。
投打の活躍を見せた松尾和則(ときわ澄川ライオンズ)はチーム一の球速を持ち、練習から110キロ以上を計測した豪腕。決勝で四~六回登板。四回に失点を許したものの、力でねじ伏せた場面が多く、松尾は「コントロールはばらついていたけれど、腕を振って投げられた」と振り返った。