一般社団法人白老観光協会(福田茂穂会長)は7日、4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業をにらみ、幅広い連携で地域の観光戦略を練る「白老まちづくりDMO戦略協議会」を立ち上げ、町内で初会合を開いた。観光庁の地域DMO候補法人に登録されている観光協会が中心となって、ウポポイを核とした観光振興の方策について意見交換し、地域資源を生かした観光事業の創出も目指す。
しらおい経済センターを会場にした初会合には町商工会、白老アイヌ協会、ウポポイを管理運営するアイヌ民族文化財団、農協、漁協など16団体のほか、白老町や登別市白老町観光連絡協議会など3団体がオブザーバーとして出席。白老観光協会の福田会長が「年間来場者100万人を目標にしたウポポイの効果をいかに町内、胆振に波及させるかが求められる」と述べ、協議会の場で観光のまちづくりに向けた情報共有や意見交換を進める考えを示した。
会合で観光協会は、観光振興のけん引役として経営基盤を強化するため▽白老北駅観光商業ゾーンのインフォメーションセンター管理運営▽ウポポイ来館者の大型バス駐車場運営▽白老駅舎観光案内所の運営や自由通路管理▽既存の収益事業―の4本柱で事業展開する方針を説明。自然や食、アイヌ文化など地元資源を生かした集客プロモーションを戦略的に進め、観光客への自転車貸し出しや旅行商品の開発・販売など事業創出も狙うとした。
一方、出席者からは「観光客を町内全域に周遊させる方策が見えない。ウポポイ開業効果を実感できる地域づくりが必要ではないか」「アイヌ文化に特化した観光のまちづくりを進めるべきだ」といった意見が出た。また「観光協会の今後の取り組みで目新しいものは何なのか」との質問に、福田会長は「収益につながるものを見つけ出し、各方面との協力体制で進めたい」と述べた。
観光協会は昨年8月、地域観光振興のかじ取り役を担うDMOの候補法人となった。DMOは経営的視点で地域の観光づくりや稼ぐ力を促す制度で、法人登録されると観光関連の国の補助金が受けやすくなる。観光協会は協議会での議論、意見交換を踏まえてウポポイを生かした戦略を練り上げ、インフォメーションセンターを活動拠点に実績を重ねて地域DMO法人の本登録を目指す方針だ。協議会は4カ月に1回のペースで開く。