厚真町発祥のオリジナルスポーツ「あつま国際雪上3本引き大会」。第13回の1月19日は道内各地から観客を含め1000人以上が押し寄せた。胆振東部地震からの「復興シンボル」にもなり得る冬の一大イベントに、社員有志をかき集め、即席チームで初参加した。戦いぶりを報告する。
雪上3本引きは特設コート内にある3本の綱うち2本を自陣に引き込めば勝ち。試合は1チーム8人(女性1人以上を含む)による1セット40秒の3セットマッチ。パワーだけでなく、スピードや判断力などあらゆる要素を駆使して戦うのが面白みだ。
今年は過去最多の61チームが参加。苫小牧民報のにわかチームは8人を何とか集め、3チームによる予選リーグに臨んだ。上位2チームに決勝トーナメント進出の権利が与えられる最初の関門。初陣の相手は同じく初出場の北大のボランティアサークルチームだ。互いに状況をよく理解していない中で試合は始まり、気づけば1セット目を危なげなく先取し、2セット目も接戦で何とかものに。2―0でうれしい初出場初勝利を手にした。
しかし、続く予選リーグ第2戦、決勝トーナメント初戦はいずれも0―2のストレート負け。3本の綱全てをもぎ取られたセットもあるほど実力差は歴然で、1本を死守するのが精いっぱい。最後はスタートで出遅れ、綱をろくに握ることすらできないまま、体ごと敵陣に引きずり込まれる完敗ぶりだった。
作戦、事前の準備、心構え、選手層、どれをとっても強いチームは1ランクも2ランクも上。右も左も分からないチームがとんとん拍子に勝てるほど甘くはなかった。
ただ、不思議と達成感があった。みんなが同じ気持ちで力を合わせて一つのことをやり切ったからだろう。大会終了後、10年以上出場を続ける苫小牧のアームレスリングチーム「パンプアップ塾」代表の星山一範さん(49)と話をした。「勝ち負けよりも『また来年出たい』と言ってくれる人がいればいい」。4連覇を果たした最強チームの言葉だ。「これまで全く関係のなかった人たちが出会い、意気投合して、何かに向かう」。これこそが、この競技が持つ最大の魅力のような気がした。
無謀な挑戦に苫小牧から足を運んでくれたチームメートに「疲れた」「もう嫌だ」という声はなかった。「楽しかった。また出よう」。ただし「今度はもっと作戦を練って」「ちゃんと準備もして」「メンバーも増やして」―。1年後、どういう形でこの場所に戻ってくるのか、今からワクワクしている。
(胆振東部支局長・石川鉄也)