民族共生象徴空間(ウポポイ)の4月開業を控える白老町をPRし、アイヌ文化の魅力を首都圏の人々に伝えるイベントが27日、東京都内で開かれた。白老でアイヌ文化を発信する人たちのトークショーやミニライブ、民族衣装の試着体験といった催しを通じて町とウポポイをアピールした。
イベントはウポポイと開設地白老の認知度を高めるため、地域振興コンサルタント業のTAISHI(本社札幌、菅野剛社長)が企画。東京都千代田区の地下広場・東京シティアイで開催した。
会場では、白老町でカフェを営みながらアイヌ文化を発信する田村直美さん、同町地域おこし協力隊員の手塚日南人さん、アイヌ民芸品を扱う同町の協業民芸スタッフ高野勝子さん、札幌出身でイタリアを拠点に活躍するフォトグラファー西川よしえさんのトークステージを実施。今も息づくアイヌ民族の文化や精神性、さまざまな命が共生する豊かな自然やアイヌ民族との関係性、人と人の優しいつながりなど、白老の魅力を熱く語り合った。
この後、アイヌ文化発信の音楽活動にも取り組んでいる田村さんと手塚さんがミニライブを行い、ギター演奏と歌で楽曲を披露。2人が作詞作曲を手掛け、昨年秋に発売したCD「ヤイレラプ~唄に託して想いを届ける」の収録曲「ミナパチセ~みんなで笑う家」をはじめ、アイヌ民族に伝わる子守歌を紹介した。
体験コーナーも設け、来場者が伝統楽器ムックリ(口琴)作りやアイヌ文様を施した民族衣装の試着を楽しんだ。千葉県我孫子市から来場した鳩山えり子さんは「北海道が大好きだし、自然を大切にしてきたアイヌ民族をもっと知るため、ウポポイへ行ってみたい」と笑顔で語った。
イベントには、白老で木彫り熊などを扱う民芸品店や水産物加工品の製造販売店、宿泊施設、飲食店の11事業者が参加。商品の展示・販売も行い、伝統文化に触れながら買い求める人々の光景が広がった。また、白老を舞台にした西川さんの写真集「SHIRAOI」を配布し、町をPRした。戸田安彦町長も会場に足を運び、年間来場者100万人を目標に掲げるウポポイと白老の知名度向上に期待を寄せていた。