ボルトやナットなど身の回りの物を使い、昆虫をリアルに再現した金属アートの制作に取り組む男性が白老町にいる。テーマはポロトの森にすむ昆虫たち。町内の雑貨店で取り扱い始めた作品は、その精巧さが話題を呼んでいる。男性は、4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業で白老へ訪れる観光客らに「このまちの自然の豊かさをアピールできる商品になれば」としている。
作者は、ハンドメード工房「メタルの森」を運営する同町末広町の今井均さん。昨年秋に同町大町でオープンしたカフェ・雑貨店「ラナピリカ」を通じて販売している。
作品はクワガタ、オニヤンマ、トノサマバッタ、カマキリ、アブラゼミ、スズメバチなど10種。体長8センチから4センチまでのミニサイズで、虫の目に小さなナット、足にピアノ線、羽には額縁の金具やスプーンのへら、胴体にはボルトや釣りの重りを使うなど、全て身の回りの金属製の品を活用して精巧に作っている。
今井さんが金属製昆虫模型を手掛けるようになったのは数年前。アウトドア雑誌に掲載されていた竹細工の昆虫作品が目に止まり、触発された。白老の自然を代表するポロトの森の昆虫たちを金属で表現しようと、制作方法を研究。ステンレスや鉄、アルミニウムなど金属部品の接着、溶接技術の開発に1年を要し、試行錯誤の末に完成させた。
小さいながらも、ずしりとした重量感のある昆虫模型は、今にも動き出しそうなリアルな仕上がり。価格は5000円台から7000円台で、関東にある友人の雑貨店を通じて作品の注文も受けている。今井さんは「白老の自然は豊か。それを伝える商品として観光客にアピールできれば」と話している。