中国出身で苫小牧駒沢大学で学んだ鄭延雪(てい・えんせつ)さん(31)が白老町の地域おこし協力隊員として今年から本格的に活動する。町が整備した駅北観光商業ゾーン(ポロトミンタラ)の観光インフォメーションセンターで観光案内業務などに携わる。4月の民族共生象徴空間(ウポポイ)開業に伴い、白老へ足を運ぶ観光客の増加が予想される中、「白老の魅力を発信したい」と意欲を見せる。
鄭さんは2009年から4年間、苫小牧駒沢大国際文化学部に在籍し、アイヌ文化などを学んだ。卒業後、中国に帰国し、ハルビン市の日本語学校に勤務した。同じく苫小牧駒沢大で学んだ中国人男性と結婚し、娘を授かった。
日本で働きたいという思いが募り、昨年春から苫小牧市内のゴルフ場に勤めた。フロントのスタッフとして活躍していた中、ウポポイ開業を控える白老町が地域おこし協力隊員を募集していると知って応募、昨年12月に正式に採用された。
食と観光振興担当の協力隊員に任命された鄭さんの活動場所は、白老観光協会が管理運営するポロトミンタラの観光インフォメーションセンター。観光スポットなどの案内のほか、特産品の販売促進業務にも従事する。4月1日のオープンに向けて今後、観光協会のベトナム人スタッフらと共に本格的に準備に取り掛かる。母国の中国語のほか、日本語や英語も堪能な鄭さんをスタッフに迎えることで、町や観光協会はセンターの多言語対応の機能発揮に期待を寄せている。
年間来館者数100万人を目標に掲げたウポポイの開業で国内のみならず、中国など外国人観光客の入り込みが増えると予想される中、鄭さんは「海外からの観光客が何を望んでいるのか、自分も外国人として、その気持ちをくみ取ることができると思う」と話す。
白老については「アイヌ文化、温泉、白老牛などの食と、観光資源が豊富」と言い、「観光客に適切に紹介できるよう、このまちの魅力を詳しく学び、広くアピールしていきたい」と張り切る。協力隊員に採用されたことを機に夫と娘の家族3人で移住した白老での暮らしも楽しみたいという。