日本のアイスホッケーの頂点を決める第87回全日本アイスホッケー選手権大会(日本アイスホッケー連盟主催)の最終日は8日、東京都西東京市のダイドードリンコアイスアリーナで決勝、3位決定戦を行った。栃木日光アイスバックスと東北フリーブレイズが激突した決勝は、中盤まで一進一退の攻防が続いたが、終盤に栃木日光攻撃陣が畳み掛け、5―1で栃木日光が5年ぶり6度目(前身の古川電工を含む)の栄冠を勝ち取った。MVP(大会最優秀選手)には好セーブを連発したGK福藤豊が輝いた。
準決勝で東北フリーブレイズに敗れた王子イーグルスは、道内のライバルチーム、ひがし北海道クレインズとの3位決定戦に回り、3―0で勝利を収め3位となった。
6日に開幕した今大会は、アジアリーグに参戦する4チームと関東、関西の大学リーグ戦上位校、社会人カテゴリーの計8チームが出場し、トーナメント戦で栄冠を競った。
▽決勝
栃木日光アイスバックス5―1東北フリーブレイズ
▽得点者【日】渡邉(鈴木、岩本)鈴木(岩本、彦坂)斎藤(佐藤)彦坂(大津、鈴木)古橋(ヘンリ、大津)【東】山田(人里、田中豪)▽GK【日】福藤【東】古川▽シュート数【日】42本【東】24本▽反則【日】10分【東】12分▽パワープレー得点【日】1【東】0▽キルプレー得点【日】0【東】0▽観客1687人
▽3位決定戦
王子イーグルス3―0ひがし北海道クレインズ
▽得点者【王】高橋(中屋敷、中島)柴田(相木)佐々木▽GK【王】マッキンタイア【ひ】ヤニス▽シュート数【王】31本【ひ】17本▽反則【王】12分【ひ】2分▽パワープレー得点【王】0【ひ】0▽キルプレー得点【王】0【ひ】0▽観客1193人
王子は第1ピリオド10分すぎ、FW高橋が右サイドからのシュートを決め先制。第2ピリオドにはFW相木からのパスを受けたルーキーのFW柴田がうまく決め貴重な追加点を挙げた。相手攻撃を堅守で防ぎ、無失点で勝利をたぐり寄せた。
▽準決勝(7日)
東北フリーブレイズ4―3王子イーグルス
▽得点者【東】田中遼(人里、篠原)佐藤(田中豪、高橋)人里(田中豪、田中遼)ニコラス(田中豪、河合)【王】髙木(今、大澤)中島(高橋、小原)高橋(中島、橋本)▽GK【東】古川【王】マッキンタイア▽シュート数【東】26本【王】54本▽反則【東】18分【王】18分▽パワープレー得点【東】0【王】1▽キルプレー得点【東】0【王】0▽観客1079人
王子はシーソーゲームに競り負けた。序盤は東北の巧みな攻撃に、1―2とリードを許す展開。第2ピリオドにFW中島のミドルシュートがゴールネットを揺らし、同点に追い付いた。その後、1点ずつを取り合い延長戦にもつれ込んだが、東北のFWニコラスの得点で、激闘に終止符を打たれた。
栃木日光アイスバックス4―3ひがし北海道クレインズ
▽得点者【日】伊藤(岩本、寺尾)鈴木(ヘンリ、古橋)古橋(寺尾、渡邉)ヨーナス(寺尾、古橋)【ひ】上野(梁取、池田)西脇(蓑島、山崎)入倉▽GK【日】福藤【ひ】ヤニス
◇攻守にわたって力を発揮し、栄冠をつかんだ栃木日光のアリッペカ・シッキネン監督
運動量も多く、選手たちには準決勝までの疲労が残っていたと思う。決勝では同点に追い付かれてからも選手たちが必死になって攻めてくれた。第3ピリオドの攻撃は本当に見事だったと思う。アジアリーグでも勝っていけるように勢いに乗っていきたい。
リーグ戦へ切り替え
準決勝で東北に競り負け、7年ぶりの連覇を達成することができなかった王子。3位決定戦では何とか踏ん張った。指揮を執る菅原宣宏監督は「選手たちも悔しい気持ちだったと思うが、しっかり切り替えて良いプレーをしてくれた。アジアリーグに向けて全日本で見つけた足りないものを補っていく」と前を見据えた。
3位決定戦は、ひがし北海道クレインズとの「北海道ダービー」。流れを変えようと大幅にセットのメンバーを変更した。アジアリーグでは決して相性がいい相手ではないが、「良い手応えはつかんだと思う」と指揮官が話す通り、リズムの良い攻撃を展開。特にルーキーのFW柴田嗣人は大舞台で貴重な追加点を挙げた。柴田は「王子に入って初めての得点だったので、すごくうれしい。ワンチャンスをものにしようと思っていたので決められて良かった」と振り返り、「良いラインで使わせてもらっているのでこれからもしっかりアピールしたい」と活躍を誓った。
守備でも守護神GKドリュー・マッキンタイアが好セーブを連発。DF陣もひがし北海道攻撃陣のシュートチャンスを摘む堅守を見せた。DF山下敬史は「(準決勝では)5対5の場面で連携が取れなかったところがあった。そこを修正できたのは良かった」と話した。
舞台はアジアリーグに戻る。21日からは全日本と同じリンクで東北との2連戦が待ち構えている。首位、2位からは多少離されたものの、優勝を狙うにはここで足踏みはできない。今大会での悔しさを何としてでも晴らす覚悟だ。菅原監督は「気持ちを切り替えて勝ち点を積み重ねていきたい」とし、山下主将も「しっかり調整し、全力でぶつかっていきたい」と意気込みを見せた。