王子、東北と決勝懸けた大一番―全日本アイスホッケー選手権

  • アイスホッケー, スポーツ
  • 2019年12月7日
準決勝〔王子―東北〕両チームによるゴール前での激しい攻防=7日午後、ダイドードリンコアイスアリーナ
準決勝〔王子―東北〕両チームによるゴール前での激しい攻防=7日午後、ダイドードリンコアイスアリーナ
1回戦〔栃木日光―ダイナックス〕少ない好機をものにしようと果敢に挑み会場を沸かせたダイナックス選手たち
1回戦〔栃木日光―ダイナックス〕少ない好機をものにしようと果敢に挑み会場を沸かせたダイナックス選手たち

 第87回全日本アイスホッケー選手権大会(日本アイスホッケー連盟主催)は6日午後、東京都西東京市のダイドードリンコアイスアリーナで1回戦3試合を行った。苫小牧勢の王子イーグルスは関東大学リーグ2位の中央大と対戦し5―1で勝利し、準決勝に駒を進めた。同じく社会人代表のダイナックスは栃木日光アイスバックスに1―6で初戦敗退となった。ひがし北海道クレインズは関西大に3―0で勝利した。

 7日は同アリーナで準決勝2試合を行う。王子は、正午すぎからの第1試合で東北フリーブレイズと対戦。第1ピリオドに1点のリードを許した王子は、第2ピリオド2分すぎにFW中島のゴールで同点。決勝戦に向け、一進一退の攻防が続いている。

 第2試合はひがし北海道―栃木日光(午後3時30分試合開始予定)の試合が行われる。

 ▽1回戦(6日)

 王子イーグルス5―1中央大

 ▽得点者【王】大澤(中屋敷、中島)レデンバック(三田村、百目木)中屋敷(越後、橋場)今(越後、相木)三田村(レデンバック、百目木)【中】斎藤(長岡、小原)▽GK【王】成澤【中】合田▽シュート数【王】67本【中】20本▽反則【王】6分【中】16分▽パワープレー得点【王】1【中】0▽キルプレー得点【王】0【中】1▽観客425人

 王子が貫禄勝ちを収めた。第1ピリオド6分すぎ、FW大澤のミドルシュートで先制点を挙げる。第2ピリオドには、FWレデンバック、FW中屋敷の連続ゴールで突き放しにかかった。その後、中央大に1点を返されるも、DF今、FW三田村が追加点を決めるなど終始落ち着いた試合運びを見せ、勝負を決めた。

 栃木日光アイスバックス6―1ダイナックス

 ▽得点者【日】渡邉(鈴木、岩本)古橋(坂田、鈴木)岩本(彦坂)ヨーナス(佐藤)大椋、岩本(寺尾、伊藤)【ダ】古川(府中)▽GK【日】龍【ダ】大澤、髙橋▽シュート数【日】50本【ダ】8本▽反則【日】6分【ダ】8分▽パワープレー得点【日】1【ダ】0▽キルプレー得点【日】1【ダ】0▽観客566人

 ダイナックスは序盤、FW府中のパスを古川が合わせ先取点をもたらす。このままリードを保ちたかったところだったが、第1ピリオドの中盤以降からスピードのある栃木日光攻撃陣のエンジンがかかり、逆転を許した。その後も守りきることができず、第2ピリオドには3点、第3ピリオドには1点を失い、勝利を挙げることができなかった。

 ひがし北海道クレインズ3―0関西大

 ▽得点者【ひ】池田(梁取)斎藤(蓑島、加藤)加藤(蓑島)▽GK【ひ】木下【関】石田

 「普段対戦しない大学生が相手とあってやりにくい部分もあった」―。王子の選手たちはそう話すが、格の違いを見せつけた。攻守にわたり普段の力を発揮し、連覇に向けて弾みのつくスタートになった。チームを率いる菅原宣宏監督は「うちらしい良いゲームができた。それぞれの選手たちがうまく役割を果たせていた」と手応えを語る。

 初戦は若手たちの活躍が目立った。FW中屋敷侑史、FW越後智哉ら若手が5得点中3点に絡む活躍。昨年は、チームの顔と言われる第1セットに据えられたメンバーが、この大舞台で結果を残した。守備でもGK成澤優太が久しぶりの出場。今季ドリュー・マッキンタイアが新加入した影響もあり、出場機会に恵まれなかったが、相手に付け入る隙を与えない、体を張った守りで最少失点に抑えた。成澤は「まだまだ納得いかないプレーはあったが、勝ちに貢献でできたのは良かった」と自己評価した。

 しかし、課題も見つかった。試合の序盤に5対3と数的有利となるパワープレーの場面で1点も決められなかったことだ。ここまでアジアリーグで34・38%と断トツ1位の成功率を誇っていたが、ここで多少の陰りが見えた。中大戦で1ゴール1アシスト活躍を見せたFW中屋敷も「細かいパスのミスなど普段通りではないプレーもあった」と話すように修正が必要となる。

 チームとしては23年ぶりの連覇に向けて走り出した王子。どこが相手だろうと「一戦必勝」の姿勢は崩さない。菅原監督は「勝ちにこだわって泥臭く戦っていく」とし、FW中島彰吾も「王子らしいシンプルなプレーを見せるだけ」と意気込みを見せた。

 社会人代表として意地を見せ、食らいつきたかったダイナックス。結果的には、栃木日光アイスバックスに貫禄を見せられ初戦突破とはならなかった。しかし、トップチームから幸先よく先制するなど大健闘を見せ、会場を盛り上げた。

 「格の違うチームだが、胸を借りるつもりで戦おうと思った」とFW牧口祐太主将が話した通り、アジアリーグでしのぎを削りスピードなどのレベルが違う栃木日光アイスバックス相手に少ない好機をどうにかものにしていこうと挑んだ。その好機が試合開始直後にやってくる。今季東洋大から加入したFW古川誠也が「自分のところにパックがきたのでそれを打ち返した」と積極的なシュートがゴールネットを揺らした。大方の予想を覆す先制点にチームが沸いた。

 しかし、昨年準優勝の栃木日光。先制点の後、すぐに逆転されるなど、レベルの高さを見せつけられ、リードを保つことができなかった。中盤以降も相手攻撃陣に押されてしまった。大澤洋介監督は試合を振り返り「なかなか対戦することのないチームとできたことに感謝している。守る時間が多い中でもさまざまなことにチャレンジできたと思う。この経験を無駄にしないようにやっていきたい」と話した。

 Jアイスノースディビジョンや3月の全日本選手権(B)などまだ試合は残っている。さらにレベルアップを図り、またこの舞台に帰ってくる。牧口主将は「今後に向けての課題も克服し、またチャレンジしたい」と力を込めた。

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