里山

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2019年9月11日

 胆振東部地震で震度7の激しい揺れに襲われて崩れ、住民の命を家もろともに押しつぶした厚真町の山々の、地震から1年後の航空写真に声を失った。

 木が滑り落ち、赤茶けた土や岩がむき出しになった小高い山が続く。地震の直後の無惨な光景と、ほとんど変わりがない。耕地から山へ入った谷や沢筋の一本一本に林業の営みがあり、何代にもわたって子どもたちがクワの実やヤマブドウを採り、小魚を追った冒険の山や沢があったに違いない。

 ブーブーと濁った音の足踏み式オルガンの伴奏に合わせて「故郷(ふるさと)」を習ったと思う。「ウサギ追いしかの山、小ブナ釣りしかの川―」。野ウサギを見たことがある。安いさおを持って川へ出掛けて小ブナやウグイを釣って遊んだ。習った歌詞の通りに育った世代だからなのだろう。自分が育った土地ではないのに傷を広げて連なる山を見るのがつらい。大きなコンクリートのよろいで覆われていく山の姿が、悲しい。

 過疎や高齢化の進む農業の現状と未来、大地震や原発事故で危機に陥った里山、野生動物の変化を説いたヤマケイ新書「唱歌『ふるさと』の生態学 ウサギはなぜいなくなったのか?」を、読み直した。冒頭で紹介された1914年の唱歌「故郷」の旧仮名遣いの歌詞が、傷だらけの山に重なる。

 「山は青き故郷 水は清き故郷―」。美しい緑の山々をたたえる詩が心の中を流れ続ける。(水)

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