柔道の尚志館當摩道場に所属する廣島あおい(明野中2年)がこのほど、兵庫県姫路市の県立武道館で開かれた2019年度全国中学校体育大会第50回全国中学校柔道大会女子57キロ級で3位入賞を果たした。大けがや不調からはい上がってきた苦労人がつかんだ、殊勲の銅メダル。「来年につながる大会になった」と廣島は胸を張った。
今大会同級には、各都道府県の予選会を制するなどした48人が出場。トーナメント戦を展開した。廣島は7月の全道大会(登別市)を初制覇し、出場権を得ていた。
小学年代に団体、個人の各種全国出場経験を持つ廣島だったが、「会場のスケールが小学校の時とは違う。すごく緊張した」。初戦の2回戦こそ動きが硬かったが、延長の末得意の内股でポイントを奪い勝利すると、3回戦では開始1分24秒に袖釣り込み腰で一本勝ちした。
準々決勝は今大会女子団体を制した五條東(奈良)の先鋒だった上野明日香。内股を徹底的に返そうとしてくる相手に、3分間の本戦こそ劣勢気味だったが「自分から攻めないと勝てない」と続く延長戦では体力を振り絞り攻めに転じた。すると、見る見るうちに足が止まり始め、顔つきも苦しそうになった上野。返し技を狙う元気もなくなったところを、内股から大内刈りの変化で仕留めた。
自身も疲労がピークに達したまま迎えた準決勝は、今大会を制した上級生姥琳子(篠栗・福岡)に完敗。地力の強さはもちろん、「瞬間的な組み手の力強さがすごかった」とさらなる技量向上の大きなヒントになる一戦だった。
昨年、全国中学大会の道予選を直前に控えた練習中に右膝の靱帯(じんたい)を損傷。2カ月以上の療養を強いられながらも、懸命なリハビリのかいあって復帰した後は、男子に劣らない持ち前のパワーを武器に各種大会で活躍してきた。
ただ、中体連の前哨戦となる今春の十勝カップでは個人戦初戦で敗れるなど「地力だけでなんとかなっていた」プレースタイルに限界が訪れた。
対戦相手の研究や試合の運び方など、一戦ごとにイメージを膨らませながら臨むようになった。成果が如実に表れたのは上野との準々決勝。帯同した尚志館の水見秀紀代表と、事前に内股返しを狙ってくる相手の傾向をチェックし、回避する手立てを打ったことが勝利につながった。「尚志館に、また一つ風穴を開けてくれた」と水見代表は頑張りをたたえる。
まだ2年生。今後は、来年の全中制覇を見据えた稽古の日々を送ることになる。優勝した「姥さんのように瞬間的な力の出し方、柔道のうまさを身に付けたい」と廣島。表彰式で見たキラキラ輝く金メダルと、大きなトロフィーを手にする未来図を描きながら。