むかわ町は28日、道内初となる事前復興計画の案を町議会全員協議会に示した。日常のまちづくりの中で事前に取り組むことで被害の軽減に資する「事前復興準備計画」と、日本海溝・千島海溝周辺海溝型巨大地震が発生した場合、生活再建と復興に果たす姿をイメージする「復興まちづくり計画」で構成する。
2018年9月の胆振東部地震で被災した町として、平時からのまちづくりで防災対策を進めるほか、災害発生後の復興の姿を想定することで、いずれ起こる可能性のある大規模災害に備える。
計画の対象区域は町全域で、期間は事前復興準備計画が2025年度から29年度の5年間、復興まちづくり計画が発災後10年。「鵡川の流れのように、とめどなく」を基本姿勢とし、町内を流れる一級河川をモチーフに復興への強い決意を表現した。
道が22年7月に公表した日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定に基づき、人的被害(冬・深夜)は津波の死者2300人、低体温症要対処者1100人、避難者総数は最大3800人と想定。課題として、平時は人口減少や産業の衰退、地域コミュニティーの維持、被災後は応急仮設住宅・災害公営住宅への速やかな入居、公共インフラの再開、被災事業者への支援―などとまとめた。
津波に対しては、100年から百数十年に一度発生するL1津波に対する安全性の確保が原則。現時点では具体的な方針を示さず、考える材料を準備することとした。
計画では災害発生後、10年かけて復興するイメージ図も掲載した。発災から半年を応急対応期、半年から3年目を復興始動期、4年目から6年目を復興展開期、7年目から10年目を復興・創生期と位置付けている。
町は2月3日から21日までパブリックコメント(意見公募)を実施する予定で、ホームページに計画案を掲載する。住民の意見を受け、3月に計画を策定する方針。町は「策定後も(絶えず)見直しを図り、来たるべき日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に備えたい」としている。