資源回復に注力 加工品販売事業者は困惑 シシャモ3年連続休漁

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  • 2025年8月27日
むかわ町内のシシャモ加工販売店。自社で加工した大ぶりの商品を販売する=カネダイ大野商店

 むかわ町でのシシャモ漁が3年連続で休漁となり、シシャモが一つの大きな観光資源になっている同町の加工品販売事業者は、困惑の表情を浮かべている。資源は回復傾向にあるものの、維持に必要とされる水準とは開きがあるため。回復を目指す漁協の対応に一定の理解を示しながら、厳しい売り上げを打破する策を模索している。

 休漁は、鵡川漁業協同組合、苫小牧漁協、ひだか漁協で構成するえりも以西海域ししゃも漁業振興協議会が5月9日、臨時総会で決定した。鵡川の2024年のシシャモ遡上(そじょう)量(推定)は27万匹で、2年連続で増加したが、資源維持の目安となる60万匹を下回っているため。鵡川漁協は「他産業への影響は大きいが、資源回復はまだ道半ば」と理解を求める。

 シシャモの加工販売業者からは「『むかわ町にはシシャモがない』というイメージが付き、人が訪れなくなることが心配」「枠を決めて漁獲し、少しでも鵡川ししゃもが店頭に並ぶと、客の印象が違う」といった声が聞かれている。

 シシャモを加工販売しているカネダイ大野商店(美幸)の大野秀貴代表(51)は「休漁で町の観光客数や事業者の売り上げが減った。休漁は町全体に関わる」と指摘した。

 同店では町内でシシャモ漁が休漁した23、24年、売り上げが鵡川ししゃもを取り扱っていた時の3分の1に減る時期もあった。十勝管内広尾町や釧路方面からシシャモを取り寄せ、加工販売して対応。今年も町外からの仕入れを検討する。大野代表は「店では冷凍品を活用して通年販売をしている。秋には新物のシシャモですだれ干しをしたい」と話し、「しんどいが頑張るしかない」と前を向く。

 鮮魚を扱うマルダイ大野商店(花園)の西川隆志店主(86)は、「休漁で売り上げに影響は出るが、種の保存が大事」と一定の理解を示す。西川店主は1980年に同店の経営を引き継ぎ、毎年町内で水揚げされるシシャモの漁獲量をノートに記録している。過去にも3年連続で休漁したことはあり、これまでは4年周期で漁獲量が増減するサイクルだったという。ただ、近年については「記録通りにいかず、これまでの傾向が通用しなくなっている」と考えあぐねた。

 町は「3年連続の休漁は非常に残念」と受け止めつつ、同協議会の判断を尊重。「未来につなぐ鵡川ししゃもプロジェクト」事業を繰り広げ、資源回復に向けた機運を町内に醸成していく方針だ。

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