【カルガリー(カナダ)時事】スピードスケートのワールドカップ(W杯)で、女子の高木美帆(TOKIOインカラミ)が、日本勢として前人未到の領域に踏み入れようとしている。26日まで行われたカルガリー大会で1勝。W杯個人種目の通算勝利数を34とし、小平奈緒、清水宏保と日本歴代最多で並んだ。新記録到達は目前だ。
2016年12月のW杯初優勝から8年余り。短距離を中心に世界を制してきた先駆者とは異なり、高木は中距離の複数種目で勝利を積み上げてきた。日本スケート連盟の湯田淳スピードスケート強化部長は「別格。過密スケジュールをこなしながら勝ち続けるのは尋常じゃない」と舌を巻く。女子の短距離で今季W杯初勝利を挙げるなど、成長著しい吉田雪乃(寿広)は「一番近い存在で、生活面もそうだし、いいところを盗んでいけたら」と偉大な先輩を仰ぎ見る。
カルガリー大会では500メートルにも出場した。主戦の距離に向けた調整の機会としてだけでなく「その距離で速く滑れたら楽しいだろうなと思ってやる」。常に高みを求めるベテランの原動力が、その言葉にこもる。
単独最多35勝目が懸かった25日の1500メートルは最後の直線で競り負けて2位。惜しくもお預けとなったが、好レースを演じた手応えやライバルの出現に心を躍らせた。次戦は31日に開幕。「楽しめるんじゃないかな」と心待ちにしている。