今年は「団塊の世代」の約800万人全員が75歳以上になり、超高齢化の影響が多方面に現れる「2025年問題」が何かと取り上げられている。
「増える」と問題視されるのは、国の社会保障費や認知症高齢者、孤独死、空き家。「足りない」と指摘されるのは、医療・介護人材。ただ、どれも相当前から分かっていた問題であり、対策は多方面から取り組まれている。
国の研究機関の推計によると、75歳以上の一人暮らし世帯は25年先の50年、今の422万世帯から704万世帯に急増する。50年は「団塊ジュニア世代」(1970年代前半生まれ)が後期高齢者になる頃で、この世代が社会に出た時期、企業は雇用の非正規化を進めていた。不安定な雇用により非婚・少子化が進み、将来は身寄りのない後期高齢者が多数いる社会になる見通しだ。そう考えると、2025年問題は深刻な状況に向かっていく入り口となり、これまでよりも対策を強化していく必要がある。
高齢者の家族構成や健康、家計状況などはそれぞれ違い、誰もが自分らしく暮らせるようにするのは容易ではない。国や関係機関だけでなく、私たちもできることを考えて試み、問題を少しでも小さなものにしていきたい。(林)