キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

  • 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年2月10日

 「クリームが入ったバケツに2匹のネズミが落ちた。最初のネズミは諦めて溺れ死んだが、2匹目のネズミは激しくもがいた。するとクリームがかくはんされてバターになり抜け出せた。今の私は2匹目のネズミです」。スティーブン・スピルバーグ監督の映画キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンで文具店を営む主人公の父親が何かの表彰式であいさつするシーン。いかにも米国映画に出てきそうな小話だが、印象的で頭から離れない。

 アイスホッケー女子のミラノ・コルティナ冬季五輪最終予選で日本代表「スマイルジャパン」が大舞台への切符を勝ち取った。持ち味のスピードで圧倒し、3連勝。まさに「できるものなら捕まえてみろ」という展開でテレビ画面越しにも選手の気迫と会場の熱気が伝わり、取材する記者の原稿にも気持ちがこもった。

 2018年平昌五輪で初勝利を飾り、前回北京五輪では決勝トーナメント進出。来年2月6日開幕のミラノ・コルティナ五輪で悲願のメダル獲得を狙う。長く代表を支えた選手の多くが引退しチームの顔触れは大きく変わったが、若手の台頭に勢いを感じる。もがいた3年。代表23人の大半が北海道ゆかりの選手で応援ムードは高まる。本番まで1年、何とか強豪国の壁を打ち破ってほしい。(輝)

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