昭和20年代初めより以前、苫小牧からの樽前山登山は、錦岡から山麓林を経て西ピークに到るコースが普通だったようだ。
昭和7年に秋元重則という人が記した、樽前山登山案内「山への導き」という手作りのガイドがある。ガリ刷り(孔版印刷)で「発行 苫小牧町」とある。
それによると「室蘭線錦多峰(錦岡)駅より麓まで八キロ、麓より頂上まで八キロ」。所要時間は青壮年で登り4時間、下り4時間から4時間半。日帰り、あるいは山腹の露営地(キャンプ地)で1泊。露営地は駅から約9~10キロのところで、覚生川を水場として利用。その 上部の涸れ沢にもわき水がある。錦多峰村には「越後屋」「つるや」など2、3軒の旅館があって、一泊1円内外。案内人を雇うこともでき料金は2円。また、駅から8キロ地点まで馬車を雇うこともでき、これは3円内外と記されている。
昭和7年に発行された樽前山登山案内「山への導き」の一部苫小牧工業学校の樽前山集団登山(昭和前期)