苫小牧市内で再生可能エネルギー由来の「グリーン水素」の製造、貯蔵、輸送、利用までのサプライチェーン(供給網)構築を目指す、スパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(東京)は、沼ノ端地区に整備した「グリーン水素」製造施設を3月以降、本格的に稼働させる。すでに試験運転を始めており、14日には事業開始に先立って竣工(しゅんこう)式を予定。「北海道を水素アイランドへ」の構想の下、苫小牧を皮切りに道内の事業展開を模索する。
同社は、投資会社スパークス・グループ(東京)の100%子会社。2023年度に環境省の事業に採択され、市と水素の普及促進に関する連携と協力の協定を締結。昨年5月にグリーン水素を製造する水電解装置などを着工し、同12月までに完成させた。昨年末から試運転しており、早ければ3月にも本格稼働を始める予定だ。
同社によると、新設した太陽光発電と既存の市のバイオマス発電で電力を賄い、再エネ由来の水素を最大で年100万N(ノルマル=標準状態1気圧、零度)立方メートル製造。25年度に市内で水素のサプライチェーンを構築する実証事業を展開し、オートリゾート苫小牧アルテン(樽前)の温浴施設、トヨタ自動車北海道(勇払)の施設ボイラーなどの燃料として活用する。
スパークス・アセット・マネジメントの弦田直己グリーンエネルギー投資室長は「苫小牧は水素の需要地として商業港、空港、コンビナート、住宅街が集約され、将来的には(二酸化炭素を分離、回収、貯留、有効活用する)CCUSの拠点として有望」と説明。実証を通じて「事業性を検証し、卒FIT(固定価格買取制度の終了)電源を活用した再エネ水素普及を検討していく」と話している。
昨年末に完成したスパークスのグリーン水素製造施設。苫小牧で実証事業を開始する