米大リーグで地区優勝を決めたドジャースの大谷翔平選手を一度だけ近くで見たことがある。2016年11月、北海道日本ハムファイターズが日本一になった時の優勝パレード。札幌市中心部の駅前通で車上から手を振る大谷選手はひときわ大きく、輝いていた。
車上から手を振る人をもう一人、苫小牧市内に応援演説に来た石破茂首相を先週見た。初めてボディーチェックも受けた。かばんを開けて見せ、上半身を金属探知機で軽くなでられる。安倍晋三元首相の銃撃事件以降、厳しい警備体制が求められるようになったためと理解する。同じような場面で銃弾が発せられたのだと思うと改めて恐怖と怒りが湧く。
本紙「なんでもトーク」欄に、街宣車で名前や公約を叫ぶのはもうやめてほしいという投稿があった。「家の前を通過する間しか聞き取れない演説や主張では有権者に何も伝わらない。夜勤明けで昼間に寝なくてはならない人もたくさんいる」と。7月の東京都知事選で掲示板に好き勝手なポスターが張られた問題もあり、従来の選挙戦が時代に合わなくなっている部分は多い。ただ決して変わらないのは、有権者が政治に意見を反映させられる大切な機会であるということ。この1週間、熟考して投票したい。(吉)