立ち直りに軸足 「拘禁刑」開始 1907年以来初、新たな刑罰

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  • 2025年6月2日

 懲役刑と禁錮刑を廃止し「拘禁刑」に一本化する改正刑法が1日に施行された。これまでの懲罰から受刑者の「立ち直り」に軸足を移し、刑務作業と指導を組み合わせた柔軟な処遇を目指す。1907年の刑法制定以来、新たな刑罰の導入は初めて。

 2022年6月に成立した改正刑法は、拘禁刑について「(受刑者の)改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、必要な指導を行うことができる」と規定。刑務作業は義務ではなくなる。拘禁刑の対象は6月の施行後に罪を犯した人となる。

 導入の背景には、高止まりする再犯率の問題がある。犯罪白書によると、23年の再犯率は47%で、近年検挙者の約半数を再犯者が占めている。このため、更生や再犯防止を重点に据えた処遇が求められていた。

 従来の懲役刑では、受刑者が刑務作業に追われ、更生や再犯防止のための指導を受ける時間を十分に確保できない場合があった。

 法務省は拘禁刑の導入に伴い、全国の刑務所などに24の矯正処遇課程を新設する。これまで受刑者は主に初犯か再犯かで、収容する施設などについてグループ分けされていた。今後は、年齢や犯罪傾向、社会性の有無などを基準にして、柔軟な処遇を行い、再犯率の引き下げを図る。法務省は懲役刑や禁錮刑の受刑者についても、新たな処遇課程を順次適用していく方針だ。

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