悪質商法

  • 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年6月3日

 マルチ、霊感、催眠…と悪質商法は年々多様化し、全国の各自治体が運営する消費生活センターに消費者が寄せた相談は、年間90万件前後に膨らんでいる。

 消費者庁では、消費生活センターに寄せられた相談のデータを人工知能(AI)に読み取らせ、深刻なトラブルになりそうな契約や商品の傾向を割り出す研究を進めている。被害の広がりそうな悪質商法などの端緒を迅速に把握し、注意喚起をして被害を防ぐためだ。

 成人年齢が2022年に18歳になり、親権者の同意なく結んだ契約は18、19歳でも取り消すことができなくなった。学校や消費生活センターは、社会に巣立つ前に悪質商法の手口を伝えるようにしているが、人を疑う経験の乏しい世代を狙う悪質業者は後を絶たない。高齢者も変わらず標的にされている。

 AIを使った被害実態の分析結果は新システムの構築に生かされ、26年度までに実用化される見通しだ。分析結果も22年から、ほぼ定期的に公表されている。各地域で被害の多発した悪質商法の手口や特徴などが早い段階で分かるので、こうした情報が被害防止の大きな力になることを期待している。加害者が「詐欺で金もうけはできない」と諦め、悪質商法が社会から消えるように。(林)

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