苫小牧市美術博物館で5月31日、2025年度の美術博物館大学講座が始まった。来年2月までの全9回で、受講者は10~80代の計139人(前年度比3人増)。初日は入学式の後、元苫小牧豊川小学校校長の藤沢世安さん(78)=宮前町=が「樽前山と校歌」をテーマに講演した。
藤沢さんは市内の小中学校や高校など52校分の校歌をまとめた自作の資料を配り、歌詞に樽前山、太平洋、勇払原野がよく使われていると指摘。特に樽前山(樽前や山を含む)は全体の8割に当たる43校歌に登場し「子どもたちの成長への願いを託した見事な詩となっている」と述べた。噴煙に「情熱、気概」、山容に「たくましさ」、裾野には「広い心」などの意味を読み取れるとも語った。
約110人が出席した入学式では、総長を務める市教育委員会の山本俊介教育長が「受講者が増加傾向で、郷土の知識を深めたいという熱意の表れ」と歓迎した。
講座は月1回土曜日の開講を基本とし、苫小牧や北海道に関わる芸術や歴史、自然史など各分野の専門家を講師に迎える。
昨年度に続き、2度目の受講という北栄町の森光子さん(79)は「知的好奇心を満足させてくれる。今年度も、卒業を目指したい」と笑顔を見せた。