NHK連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」を見るのが日課になって早5年以上がたつ。物語の変化する状況に朝から心が癒やされたり、1日の活力になったりする一方で、時には気持ちが沈んだり、涙が出たり…。現在放送しているのは「あんぱん」。誰もがおなじみの「アンパンマン」の作者やなせたかしさんとその妻・小松暢さんをモデルに、戦中・戦後の激動の時代を生きる2人を中心に描いた物語で、多くの好評を得ている。
少々ネタバレになってしまうが、今番組内で描かれているのは、戦争まっただ中の日本。お国のために戦争に行き、命を惜しまず戦うこと、名誉の戦死を遂げることを、立派だ―とする主人公の主張に対し、戦争で婚約者を亡くした妹が「そんなの嘘っぱちや」と一蹴する場面があった。当時の時代背景からすると、おそらく前者がたたえられ、後者は非難を浴びることになるだろう。双方の入り交じる感情に思いをはせながら、当時の状況を深く考えさせられる日々だ。
今年は戦後80年。戦争を知らずに生まれ、当時のことは写真やテレビの映像でしか見たことがない。しかし、敗戦から学び、二度と同じ過ちを繰り返さないと誓った先人たちの心に触れる機会になれば―と画面越しに思った。(石)