夏山シーズンの本格到来を告げる第71回八ケ岳開山祭(ちの観光まちづくり推進機構、八ケ岳観光協会、茅野山岳会主催)が1日、南八ケ岳と北八ケ岳の2会場で開かれた。両会場で神事を執り行い、今シーズンの登山者の安全を祈願したほか、式典参加者には記念バッジと赤嶽山(あかだけやま)神社のお札が配られた。
南八ケ岳会場は今年、赤岳山頂付近の降雪を受け、会場を予定の山頂から行者小屋前へ変更した。一方、北八ケ岳会場は、参加のハードルを下げたい狙いから昨年同様、北八ケ岳ロープウェイ山頂駅前広場で行った。
このうち、南八ケ岳会場の行者小屋では、赤嶽山神社の宮司が祝詞を奏上。同神社総代会、各山岳会、観光関係者、登山愛好家ら計約200人が参列し、今シーズンの安全登山を祈った。式典冒頭は、悪天候に見舞われたものの、登山者の代表が神前に玉串をささげる頃には雨も小休止して次第に好天へ。一同で赤岳の方角を向いて参拝すると、呼応するかのように山岳にかかっていた霧が晴れ、歓声が上がる一幕も。神事の後は、遭難事故者に黙とうと花をささげ、リコーダーの音色に合わせて「雪山讃歌」を歌い冥福を祈った。
父親と南八ケ岳会場を訪れた小学校5年の児童(10)は「ここに来るまで大変だったけれど楽しかった。山小屋で食べたカップラーメンとおでんは、普段家で食べるよりもおいしく感じた」と笑顔。
赤岳鉱泉と行者小屋を経営する栁澤太貴さん(37)は「これから夏山のシーズンが始まり、登山者の増加とともに山岳遭難の発生が危惧される」とし、「登山者と身近に接する山小屋の立場からできることがあると思う。警察や遭難対策協議会と協力しながら、皆さんに良い思い出を持ち帰ってもらえるよう活動していきたい」と意気込んでいた。(長野日報)南八ケ岳会場の行者小屋前で行われた式典で、赤岳に向かって参拝する参加者