前半のボール支配率は、日本が約70%。ただ、圧倒したわけではない。W杯出場を狙うオーストラリアは、ホームだというのに自陣に閉じこもった。「国際試合は、一つのプレーで決まる。思い知らされた」と平河。ワンチャンスに懸けた相手の術中にはまった。
こじ開けるのが難しい5バック。新戦力で臨む日本は、ともにA代表デビューとなった俵積田と平河の両翼から迫った。だが、クロスの精度を欠き、シュートは打てても遠い位置から。決定機はつくれなかった。
流れを変えたのは、主力組だった。後半途中に投入された久保は、終盤に最大の見せ場を迎えたが、右足のシュートはわずかに枠外。「あそこまで余裕があったら決めるべきだった」。約10分後の試合終了間際。左を崩されると、唯一と言えたチャンスから鮮やかなシュートを決められた。
W杯出場を決めたからこそ、可能だった今回の大胆なメンバー編成。豪州戦は初選出を含め先発した9人が、A代表キャップ数が1桁台だった。
緊迫感のあるアウェー戦に送り込んだ森保監督は、「日本にはまだまだいい選手がいる。最強、最高のチームをつくってW杯へ向かっていくためにきょうの起用をした」と説いた。悔しい最終予選の初黒星。代表定着を目指す選手は、成長の糧としなくてはならない。